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Since 1997/06/07
書籍寸評
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書籍寸評(11) 2000年09月以降
本は趣味の一つとして自分の小遣いで購入し、僅かな自分の自由時間を使って週に1冊とか2冊、ちびりちびりと読んでいる。したがって、自分でお金をだして購入している限りはその出したお金に対してそれだけの投資しただけの満足感(対価)が得られば納得するし、そうでなければコンチクショウと思う。この感想は人によって違うが、少なくとも私は正直な気持ちで、このホームページにも素直にその時感じたことを書いている。作者や出版社などとなんの因果関係がないだけに、遠慮することもない。そういった生の感想を自分は知りたいと思うし、人にも教えて(参考にして)あげたいと思っている。職業として書評を書く人のモノではなく、本当に好きで読んでいる人たちの感想を。
- 「ブラインド・フォールド」
尾崎諒馬、角川書店、1400円
コンピュータと人間がチェスや将棋で対戦する話。
21世紀入って最初に読み終わった記念すべき本。その割にはあまりお勧めできないのが残念。
まず、帯の紹介文と内容との差が大きかったので期待がはずれた点。それと、半分ほど読み進んだときにはトリックがわかったのだが、この種明かしがなかなかされず、最後まで引き飛延ばされたのが評価を下げたひとつの要因でもある。なかなか凝った構成になっており工夫されているのだが、もう少し読者の身になってもらいたい。あまりにも勿体振りすぎている。
(お勧め度:75/100)2001/01/10登録
- 「「不良中年」は楽しい」
嵐山光三郎、講談社文庫、448円
この本には、まことに励まされる。著者ほど徹底してはいないが、自分の生活を顧みると、その正当性を立証してくれるようなありがたい本なのである。
帯に書いてあるのでここで引用してしまうが、不良中年になるための掟「10箇条」として次のものが上げられている。
「まず会社を辞めるべし、見栄を張るな、老いては色欲に従え、妻から自立せよ、我慢をやめよう、聖子・しのぶを見習え、自分勝手に生きろ、往生際悪くてよろしい、勝負は1日単位だ、背広の似合わぬ男になれ」
とのことである。
この本の内容はこの10箇条にすべてが表されている。バイブルである。
(お勧め度:80/100)2000/12/17登録
- 「アメイジング・グレイス」
小川竜生、徳間書店、1900円
街の不良が成り上がり、闇の世界で政財界を駆け抜ける。いわゆるピカレスクものであるが、残念ながら、主人公がなんとなく人がよすぎるのである。そこが魅力ともいえるが、それにしてもあまり闇に生きる雰囲気がなく、どちらかといえば幕末の志士のような清さが感じられる。
藤原審爾の「恐喝こそわが人生」という傑作ピカレスク本が私にとってのピカレスク原点であり、どうしてもこの本と比べてしまう。
「アメイジング・グレイス」については、全体を通して透明感があり、期待したものとは雰囲気が異なるが、それはそれとして評価できる。続編につながらない(主人公が死んでしまう)潔さも好ましい。
(お勧め度:80/100)2000/12/10登録
- 「神はダイス選ばない」
森巣博、飛鳥新社、1900円
帯には刺激的なフレーズ、「活字ギャンブルの頂点」とある。「賭博文学の最高峰がここに初めて誕生した」とまで書いてある。
この人の本は初めて読んだものであるが、とらえ所がない。エッセイなのか、小説なのか。実体験に基づく内容であるようであるが、それにしてもすさまじい内容で、小説として読んでも十分に楽しめる。
ぜひ、ギャンブルに興味がある方は読んでみてもらいたい、賭け事の不思議がわかるような気になるので。
(お勧め度:75/100)2000/12/07登録
- 「生還」
羽根田治、山と渓谷社、1600円
この本は山岳遭難をした登山者の中で、特に生きて帰ってきた人たちのドキュメントである。生死の境を分けたものは何か。この本に登場する登山者はみなごく普通の人たちで、いわゆる冒険者ではない。仕事の合間に国内の山に登っている山好きの人たちである。それだけに、ここに出てくる遭難の状況は、1歩間違えば自分の身にも起こりそうな状況で、改めて山の恐ろしさを感じる。
けれども登場する登山者は、みな生きて帰り、殆どが山登りをしている。そういった点では、希望も感じることができる本である。登山の入門書としてもお勧めできる本である。
(お勧め度:85/100)2000/12/07登録
- 「南アルプス」
静岡新聞社、1800円
10月初め、6年ぶりに南アルプス二軒小屋に行った。紅葉が素晴らしく、また朝の冷え込みも厳しく、山に来たなあと感じた。途中見えた赤石岳も威厳があり、素晴らしい。悪沢岳に登ったころが懐かしい。
この本を見ていると、来年の夏は山に登るぞと意欲が出てくる。家庭を持ってから山に登ることがなくなった。しかし山に登ったころの思い出は消えていない。写真も素晴らしく、自分の目で見てきたそのままの山の姿がこの本には描かれている。単なるマニュアル本ではなく、この本のような心に響くものを読んでから山に望むのも一興であろう。いつも手元に置いておきたい本である。
(お勧め度:80/100)2000/12/07登録
- 「「超」整理日記」
野口悠紀雄、新潮文庫、476円
インターネットやコンピュータの普及が進み、情報も溢れ氾濫しているのに、
なかなか納得できる新しい情報整理本?を見ることが出来ない。新たなモノを読んでみても、
これだけ時代の変化があるにも関わらず、未だ梅棹忠夫「知的生産の技術」、加藤秀俊「整理学」、
渡辺昇一「知的生産の技術」などが原点となっているようだ。野口悠紀雄も、
この類の本を何冊も出しているが、残念ながらすべてを受け入れるものにはなっていない。
この本に限って言えば、趣旨も内容も違うのだが、残念ながら、一言二言、
言いたくなるような内容である。すべてを否定しないが、少なくとも私の考えとは違う。
平成8年初出で、平成12年の終わりに読むのでは、日々変化し続ける現代では
無理もない話か。読む時期が遅かったか(泣)。
(お勧め度:55/100)2000/11/30登録
- 「慟哭日本」
桑原譲太郎、ハルキ・ノベルズ、895円
なぜか2冊買ってしまった本。これは前出「日本動乱」の続き。無茶苦茶の度合いが
無茶苦茶になってきて、ますますリアル感が減退。安っぽくなる。かっこいいのは、
本の表紙だけ。敵も味方もなんか間抜けなんだよなあ、ぴりっとしたところがない。
隊長の安っぽいセリフ、お涙ちょうだいの人情話に陥りそう。
残念だなあ、じっくり書き込むという部分がほしい。
(お勧め度:40/100)2000/11/30登録
- 「日本動乱」
桑原譲太郎、ハルキ・ノベルズ、895円
収監されてしまいましたね、発行者が。続編が心配です。
タイトルは違いますが、「我が標的は日本」の続編で、独立していません。テロリストが
いよいろ日本で暴れまくります。しかしながら、日本のSATも情けない。全然、精鋭という
感じがしないもの。隊長もぴりっとしない。もう少しシリアスに描いた方がいいのでは
と思う。日本の社会情勢、政治を皮肉っているのは前作と同様であるが、公益法人、
特殊法人を羅列するにには閉口。なんかの参考図書から引っ張ってきたのであろうが、
こういうのはしつこ過ぎると、小説として本当につまらなくなる。興ざめである。
(お勧め度:50/100)2000/11/30登録
- 「空山」
帚木蓬生、講談社、2000円
しかし、書き下ろし問題作とあるから、読んでみたのだけれど、どうも最初から
主人公が誰だかわからないし、男女の関係もよくわからない、わからないだらけで
最後まで読んだのだけれど、一番最後の作者の本のページに「空夜」という
前段の本があることが紹介されていて、どうりでと納得した。シリーズものなのかな。
この「空夜」という本を読んでないと、つまらないね、この本。ワシは読んでいないから
つまらなかった。だまされた気分。
ゴミ処理問題を扱っているが、この部分についても目新しいモノはなく、
意外性もなく、きれい事過ぎて、うんざり。こんなにうまくはイカンよ、現実は。
議会のシーンもリアルではないし、問題の核心にも触れていない、解決もしていない。
つまらなかった。
(お勧め度:40/100)2000/11/13登録
- 「我が標的は日本」
桑原譲太郎、ハルキ・ノベルズ、933円
刺激的な書名と表紙の写真。前出、『フレンズ』を探したときに見つけた本。
この作家の小説は、あの衝撃的な幻のデビュー作『アウトローは静かに騒ぐ』以来、
何冊も読んでいたのですが、ここ何年も単行本で見かけることがなかったので、
手に取ることもなかった。今回は偶然見つけたわけ。
それにしてもこの表紙は、昔サバイバルゲームにはまっていた頃を思い出す。
まだ、フロンを使っていた頃。内容的にも表紙と書名の通りなのであるが、
あまりにも著者の世相に対する個人的な感情が入りすぎ(当然とも言えるが)。
小気味よいが、短絡的な感じもして小説全体が
安っぽく感じる。週刊誌ネタの寄せ集め的。また、登場人物も当然ああこの人の事だな
と実在の人物が想像できるようなコケおろした名付けで、それはそれでわかりやすいが、
リアル感が欠けてしまっている。
この小説はシリーズ化というよりも続きがある。
(お勧め度:50/100)2000/11/3登録
- 「フレンズ」
高嶋哲夫、ハルキ・ノベルズ、952円
新書は買うことも書店で棚を眺めることもないためハルキ・ノベルズなんてものが
出ていることを知らなかった。なんか新書サイズって、割高というか中身がスカスカの
イメージがあるのですね。
この小説は、本人曰く、角川春樹事務所からというので「セーラー服と機関銃」の
イメージで書いたと言うとおりで、中年おじさん(私)には物足りない感じ。
少年少女向けっぽい。もう20年若かったらなあ、腰が痛いし、目もしょぼしょぼして・・・。
内容的には、わーっと読めて、わーっと楽しめた。しかし、詰めが甘く、最後の襲撃方法も
ありふれたというか、新鮮味がなく、リアリティもない。もう一歩、工夫が欲しいなと感じた。
(お勧め度:60/100)2000/10/21登録
- 「脳男」
首藤瓜於、講談社、1600円
江戸川乱歩賞受賞作。毎年、私の好みとしては乱歩賞受賞作はかなり期待して
読むのであるが、今年のこの作品はまさに絶賛、選考から漏れた方は運が悪いと
しかいえないだろう。それほど突出して面白い。
妙にリアリティがある。主人公の設定も抜群である。鈴木一郎と言う名の主人公の
謎を突き詰める部分だけでも突出している。後半、人間味のある部分をやんわりと書き込み、
読者をほっとさせ、そして悲しませる手法もさすがだ。
この主人公の創り込みに加え、スピード感そして迫力ある連続爆発事件の
謎解きが絡み、息を付く暇もない。逸品である。
普段なら続編がありそうな終わり方はズルイとか感じるのであるが、
今後に期待をもたらしてくれるという意味で今回は歓迎する。
(お勧め度:100/100、おめでとう満点)2000/10/21登録
- 「川の深さは」
福井春敏、講談社、1600円
『亡国のイージス』の印象が強すぎる作者であるので、どうしてもその作品と比較をしてしまう。
まずリアルな感じがしない、どうしてだろうか。感情論的に設定をしているからであろうか。
例えば、警備員が主人公たちを気にする理由であるが、どうも説得力のある理由ではない。
主人公の行動も読んでみればわかるのであるが、それにしても行動の原動力となるべき
理由が今ひとつに感じる。地下鉄テロ事件も絡める必要があったのかな。手を広げすぎで
肝心な部分が手薄なような気がする。そういったことを気にしなければ、特に後半の
スピード感あるドンパチは読み応えがある。まだまだ自作に期待が持てる。
(お勧め度:70/100)2000/10/15登録
- 「陽炎」
今野敏、角川春樹事務所、1700円
「新ベイエリア分署シリーズ」と書かれるとなんとなく洋モノぽいけど、思いっきり
和モノの警察小説である。警察小説というと、最近では高村薫とか
久間十義「刑事たちの夏」とかを思い出すが、残念ながらそれらとはまったく
雰囲気が違った人情話的なイメージ。たぶん、帯の「警察小説の金字塔ここにあり!」とは
ならないであろう、インパクトが無さすぎる。読んでいて安心はするのだが、それにしても
事件の解決に至る過程を楽しむ魅力はない。少なくとも私の求めているモノとは違う。
ただし、登場人物の設定には工夫しているので、例えば長編でもう少し書き込めば、
違う味が出るかもしれない。
(お勧め度:68/100)2000/10/07登録
- 「リサイクル汚染列島」
武田邦彦、青春出版社、1400円
衝撃的である。リサイクルは環境にも身体にも悪いとの訴え。タブーとされてきた
部分へブスリと刃、常識を覆す理論である。
私も環境には興味あるのであるが、今まで単純にリサイクルは進めるべきと
信じてきた。そして循環型社会からゴミ0の社会に。しかし、ここまでわかりやすく
説明をされると反論の余地がないのである。もう一度読み直して、頭の中の
環境に対する既成観念を組み直さなければならない。まったく、衝撃である。
(お勧め度:85/100)2000/09/20登録
- 「ダーティー・ユー」
高嶋哲夫、NHK出版、1500円
陰湿化した昨今のいじめ、罪の意識がないこれらの行動について、この作品の主人公が
「いじめは犯罪なんだ」と徹底的に抵抗し、訴える。どこかが狂っていると日頃から感じている
部分を見事に小説化している。
教職員組合は自分たちの保守に躍起である。たとえば、30人以下
学級の早期実現を求めているが、その理由に学級崩壊を挙げている。何かが違うような
気がする。ゆとりの教育、自由と個性、これも美化された言葉に惑わされ、ごまかされている。
教育の本質を見失っている。主人公の訴えはもっとストレートだ。だから、わかりやすい。
この小説を、子供たちが、教師たちが、親たちが、そして文部省の役人がどのように解釈し、
そして感じるか、知ってみたいモノである。
(お勧め度:90/100)2000/09/20登録
- 「スペシャルウィークのつくり方」
別冊宝島編集部、宝島新書、690円
ダービー馬の生産、調教についてのノウハウ、これを調教師、生産者、育成担当者等が
語っている。しかも、天皇賞(秋)で私に万馬券を与えてくれたあのスペシャルウィークで
ある。帯には「究極の経済動物の緻密な計算」とある。経済動物とはやや遺憾であるが、
それにしても緻密な計算とはまさにその通りであって、レースしか見ていない私たちには
知ることの出来ない苦労があるのである。それによって作られたサラブレットはまさに
生きる芸術作品であり、夢であるのであろう。
(お勧め度:89/100)2000/09/20登録
- 「巨大利権『「空港建設』」
別冊宝島編集部&杉浦一機、宝島新書、690円
あまり利権に絡んだ暗黒の世界には踏み込んでいない。ごくまじめに空港建設と現在の
航空事情について多面的に論じている。確かにその中にはかなり批判的な意見もあるが、
それはそれでそういった一面もあるので良いと思う。俺がだっきらいな反対のための反対運動
を支持する人気取り本でなかったのは救いである。
この本は、
「官は原案に固執し、民は反対をするだけで代案を提案するという慣習が
ないことに加えて、官と民が話し合いでプロジェクトを検討するルールが出来ていない。
戦前の「滅私」の反動があって、最近は私権が尊重されすぎているように思う。ビックプロジェクトを
遂行するには、「公」の利益を考え、私的な利益とのバランスをとることが考えられてきても良いの
ではないだろうか。」
とまとめている。
誠その通りと感じて私はこの本を支持することとした。
(お勧め度:75/100)2000/09/11登録
- 「『噂の眞相』編集長日誌(2)」
岡留安則、現代教養文庫、680円
スキャンダル雑誌『噂の眞相』に掲載されている編集長日誌をまとめたモノ。
シリーズとしては2冊目で、その文庫化である。
このシリーズは(4)まで発刊されている。この著者は今年の6月に右翼団体に編集部を
襲撃されて怪我をしているが、これについてもあとがきで触れている。また併せて最近
書店でこの『噂の眞相』と並んで置かれることが多い『噂』という類似雑誌についても、
あとがきに書かれている。
なんにしてもトラブルの多い雑誌であるが、月刊誌としては
『文藝春秋』に次ぐ部数だそうで、この本を読んでもわかるとおり、過去のスキャンダルな
話題の宝庫である。眞相はわからない、が噂さえも一般人は知ることが出来ない、少しでも
眞相に近づきたいという欲望を満たしてくれる雑誌である。
(お勧め度:85/100)2000/09/08登録
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