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書籍寸評

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書籍寸評(13) 2001年04月以降

 ここ数ヶ月、雑誌以外の本は、ほとんどインターネットで購入している。最初は抵抗あったのだが、実際にインターネット書店を利用してみると便利この上ない。仕事と子守と家族への奉仕で忙しく、書店に行く時間がない中で、自宅にいて夜中でも注文できるこのシステムは画期的であると思う。
 田舎の書店では単行本の陳列棚も少なく、また入れ替わりも少なく、いくつもの書店をまわらないと欲しい本、読みたい本が見つからないことが多い。しかしながら、新聞や雑誌の本の紹介記事を切り抜き、貯めておき、1ヶ月に一度くらいまとめてバーッと頼むと、3日もすると自宅に届く。車(ガソリン)を使って書店をまわり、時間を浪費することを考えれば、送料は微々たるもので効率的かつ割安であり、もうこのシステムからは離れられない。本を読むジャンルの幅も広がったような気がする。
 便利な世の中になったと感じることの一つである。


  • 「敢闘言」 日垣隆、太田出版、1550円

     副題に「さらば偽善者たち」というタイトルを持つこの本は、エコノミストに連載されたコラムを集積したものである。まったく小気味の良い苦言ばかりで楽しめる。たしかに帯に書かれているように、「言葉による実力行使」的なところがあって、メディアの威を借りた感のあるものもあるが、まあ、それもよし。不条理がまかり通る世の中、こういったコラムもあってよいと思う。
    (お勧め度:80/100)2001/07/22登録

  • 「アホー鳥が行く」 伊集院静、西原理恵子、双葉社、1400円

     伊集院静のギャンブル話は面白い。サラリーマンの私は、伊集院静に近づきたいと思わせる。この人のギャンブル感は、サラリーマンのほら話とは違って、ギャンブルを自然に受け入れている。戦闘的ではない。その感性には、憧れに近いモノを感じる。
     西原理恵子も相変わらずであるが、伊集院静をどうしようもない人と喜んでいる。サラリーマンではない西原理恵子であるから、伊集院静を理解しているのであろう。
     この本を読んだ直後に、年2回しか行かない競輪に出かけた。静岡競輪。よくわからないが、競艇よりも、競馬よりも、競輪に魅力を感じる。しかし、伊集院静曰く、つまらなくなった、衰退が心配されると。たしかに、競輪場は変わった。人も少ないが、まず予想屋がいなくなった。ぱったりと。罵る親父たちも少なくなった。特観席も値下げ。ボックス用のマークカード、必要か?競輪に。私のような素人にも明らかに変化は感じる。つまらなくなったのだろうか。
    (お勧め度:70/100)2001/07/21登録

  • 「洗脳試験」 松岡圭祐、小学館、1785円

     エンターテイメントという言葉がぴったしの著者であるが、この本もあいかわらずぐいぐい引き込む魅力に溢れている。千里眼シリーズの第4弾。面白い。冒険小説としても充分楽しめる内容だ。さてこの結末は、次作にどのように繋がるのかという新たな興味がわいてくる。岬美由紀の魅力はとどまるところはなく、次から次へと新たな面が出てきて、それは深まるばかり。ほんと、まじに惚れてしまいそうです。
    (お勧め度:95/100)2001/07/11登録

  • 「天国への階段(上・下)」 白川道、幻冬社、1700円×2

     『病葉流れて』の作者。これだけでも期待が持てるのであるが、やっぱりこの期待を裏切ることのないできばえであった。とくに男性に好まれる内容であると思う。なんかできすぎという感じですが、それにしても登場人物がみな魅力的で理想的でいいなと。けれども皆苦労していている。そして、最後に至って「天国の階段」が遠く流れていそうな幕切れはなんとも寂しくて印象に残る。エンディングの音楽は、ジミー・ペイジの12弦アルペジオが静かに流れるだろう。
    (お勧め度:90/100)2001/07/11登録

  • 「トルーマン・レター」 高嶋哲夫、集英社、1800円

     原爆投下の真相・・・という大きなテーマを追求する割には、導入部の強引さはどんなものかと疑問を抱きながら読み進んだのだが、さすがに後半に進むにつれ、ぐいぐいと纏め上げなっとくさせていく筆力には感心する。
     しかしながら、社会にくたびれたありがちな主人公には現実的で読んでいて疲れる。私の好みであるが、軽井沢の骨董屋のような魅力的な人物を主人公にしてもらえれば、もっと楽しめるのにというのが素直な感想。沖縄の女性も本当に必要であったかも疑問に思うところ。
     トータルとして高い水準に落ち着いているが、序盤から段々とテンションが上がって登り詰めていく感じが欲しいかなというのが贅沢な希望である。
    (お勧め度:85/100)2001/06/12登録

  • 「秘密屋(白)」 清涼院流水、講談社、500円

     読むことが苦痛であることはわかっていたが、買ってしまった限りは目を通そうと我慢して読み流した本。退屈の一言。
    (お勧め度:10/100)2001/06/12登録

  • 「ヒマラヤを駆け抜けた男」 佐瀬稔、中公文庫、686円

     山田昇を生涯を追ったもの。登山家である。しかし、多くの著名な登山家、冒険家がそうであったように山田昇も遭難という死をもって完結している。結局、死ぬまで登り続ける運命にあるのか、悲しい限りである。アルピニストという響き、この言葉の魅力に惑わされたようにマッキンリーに散ってしまった山田昇の悔しさが、著者の文章にも縷々と感じられる。
    (お勧め度:70/100)2001/06/12登録

  • 「プロジェクトX 挑戦者たち4」 NHK「プロジェクトX」制作班、NHK出版、1700円

     ほとんどテレビを見ない生活をしている中で、これだけはビデオに撮っても見ようと努力をしている番組であるが、この19回から24回分を収載したもの。内容は、「140億光年、世界一の望遠鏡」「オートフォーカス、14年目の逆転」「世界一のテレビ塔建設」「HUロケットエンジンを探し出せ」「豊田商事事件・中坊公平チームの闘い」の5件。
     どれも興味深い内容であるが、こういった内容を書物にするのであれば、番組の単なる文字化だけではなく、番組以上の詳細なデータと文字では表現できない写真は図などをたくさん取り入れてもらいたいと思う。この本は、番組と同じような構成で作られているが、これではとてもテレビ(映像)には勝てない。
     映像と音の情報量は膨大である。したがって、この本は全く欲求不満になる。そういった意味ではつまらない。残念である。
    (お勧め度:60/100)2001/06/01登録

  • 「秘密屋(赤)」 清涼院流水、講談社、500円

     著者の名前が面白いなあと思って買ったこの本、完全にはずれ。最悪である。時間の無駄というか、なんでこんな本を買ってしまったのかと、自分の馬鹿さ加減にあきれる。書店で手に取れば絶対に買わなかっただろう本。内容は、男の愚痴を聞いているような印象。なんにも面白くない。
    (お勧め度:10/100)2001/05/30登録

  • 「カリスマ(上)」 新堂冬樹、徳間書店、1600円

     上巻だけの感想。どうしてか。それは、下巻を読もうか迷っているからである。だって、面白くないんだもの。いや、まったく面白くないと言うわけではないのだが、なんというか新鮮味がないというか、だから読んでいても辛いのですね。
     内容は充分面白くて迫力はあるのだけれど、どっかで聞いたと事、読んだこと、見たことあるような話し、具体的にはオ*ム**教そのものなんですね。随分昔に読んだ、中島らもの「ガダラの豚」なんか、寝ずに読んだ記憶があるのに、この本は全然そういうとこないんですから、帰って眠くなったりして。
     結局は、人にも寄りますが、タイミングというかそういうの、大切なんですねえ、焼き直し的なものはやっぱり新鮮味がなくて魅力がありません。
    (お勧め度:60/100)2001/05/28登録

  • 「ヒットマン」 中保喜代春、講談社、1500円

     この方、1997年、山口組宅見組長射殺に加わり懲役20年で服役中の人である。内容は、この事件に至る経過と生まれてからの境遇、事件後の逃走から逮捕までを語っているモノであるが、はっきり言ってつまらない。
     全編にわたって、反省の体をとっているが、もちろん本当に反省しているのだろうけど、しかしながら、私が受ける印象は単なる我が儘、偽善・・・、作者に共感できるモノではない。副題「獄中の父からいとしいわが子へ」、序章の「愛する航太へ」を読んでも、腹が立つばかり。無責任の極みである。これを読んで感動し涙を流すことは、こういった犯罪、身勝手な暴力を肯定することになるのではないか。反省する姿勢を否定するわけではないが、それを書籍として出版することは、反省とは別の次元であり、まさにポーズとしか思えない。
     全文にわたる「です・ます」調は、編集者だか誰かの助言であろうが、いかにも反省していますという態度を表現するための手段であって姑息である。どうして自分の言葉で表現できないのか。
    (お勧め度:50/100)2001/05/27登録

  • 「そして粛正の扉を」 黒武洋、新潮社、1500円

     面白い!ホラーサスペンス大賞受賞作であるが、ぜんぜんホラーでなくて良い。絶対に比較されるであろう「バトル・ロワイヤル」よりも数倍面白い。こちらも、大量に人が死んでしまうが、ただ数が多いだけではなく、一人死ぬごとに物語の進行に厚みを付けていくようで、たとえればRPGでレベルが一つ上がると新しい世界が開けるような感じ。  武器についてもこだわりを感じるし、全体が醸し出す雰囲気は「バトル・ロワイヤル」よりオトナのイメージがある。最初から最後まで無駄なモノがなく、すっきりした感の中に重厚感もある。アイデアの勝利である。最後に続編の可能性がこの作家の期待値を大きくしている。次作、要注意。 (お勧め度:99/100)2001/05/20登録

  • 「警視庁心理捜査官」 黒崎視音、徳間書店、1900円

     まず作者。ミオと読む。女性か男性かわからない。読んでみると男性かなと思うが、女性の可能性があるかなという繊細さもある。著者紹介には、「1974年、岡山県生まれ」としかない。謎である。
     警察小説である。しかも、プロファイリングという技術を駆使して、犯人像を描き追いつめていく心理捜査官。しかも女性。
     男性社会である警察の中での女性の位置づけは、おそらく女性でなければわからないであろう。この辺が実にうまく書いてあって、作者は警察関係の女性かなと想像する。著者紹介の欄にも具体的に書かれていないのは、現職の可能性もある。それほど、警察の中の事がリアルに書かれている。過去に数多くあったこの類の中でも、内容は別として警察内部についてはかなり緻密に描かれ、特殊用語も的確に使っている。作者の素顔が知りたいところである。
     小説の中身も、かなり書き込んであって面白い。次作が楽しみである。
    (お勧め度:49/100)2001/05/01登録

  • 「北京原人の日」 鯨統一郎、講談社、1500円

     かなり期待して読んだのだが、不発。なんか薄っぺらいんだなあ。改行多いし。第2次世界大戦の敗戦の真実まで大きな題材なんだけれど、あまりにもそこに至るまでの解明手続きが安易すぎる。北京原人の化石の謎についても、わかってみればつまらないというか、そんなかあっ、ってがっかりする。主人公の男女も、最初から最後まで好感がもてないのもマイナス。
     でも、「邪馬台国はどこですか?」は読んでみようと思っている。それでダメなら、この著者はもう読まないぞ。
    (お勧め度:49/100)2001/05/01登録

  • 「銀座八丁目探偵社〜本好きにささげるこだわり調査録〜」 北尾トロ、メディアファクトリー、1300円

     内容は、タイトルのとおりで、本に関する気になる点を調査したもの。割合に面白い。昔の『本の雑誌』のノリである。元は、『ダ・ヴィンチ』に連載されているモノで、その中の抜粋。著者は、この企画の流れでインターネット古本屋を始めてしまったそうで、結構、本気であることが文章からも窺える。著者が本好きであるということが読者にも感じることが出来るので、それも好ましい。
    (お勧め度:75/100)2001/04/22登録

  • 「スパイはなんでも知っている」 春名幹男、新潮社、1200円

     『Foresight』という国際政治経済情報誌に連載されていたモノ。
     最近、映画の見過ぎのためか、この本に書かれている程度ではリアル感が乏しすぎて、読んでいてもつまらない。・・・とのこと、・・・という、・・・のようだ、という記述ばかりではなあ。
     この本の意図するところと、私の求めるモノとの誤差による悲劇。インターネットで注文した本であるが、書店で手にとってみればたぶん購入しなかっただろう。
    (お勧め度:50/100)2001/04/22登録

  • 「「ご破算」で願いましては。」 花井愛子、小学館、533円

     面白い。一気に読んでしまった。少女小説作家の著者が、遺産トラブルとバブル崩壊による不動産価値の暴落により自己破産に追い込まれる話し。実話である。
     しかし事実であるから怖い。怖がらせようとしていないところが怖い。気負っていないし。たんたんと。親族との遺産トラブル。これも怖い。今も競売にかけた自宅(マンション)に不法占拠している著者。
     捨て身の本であるが、その目的の一つには親族への復讐というか、こんなひどい奴らだという暴露、今まで言いたかったけど言えなかった鬱憤、この辺ではないか。一方的な言い分であるが、本当にひどい内容だ。まさに地獄の体験である。
    (お勧め度:93/100)2001/04/16登録

  • 「日本の技術は世界一」 毎日新聞経済部編、新潮社、486円

     先端企業96社を紹介している。毎日新聞に連載されたモノ。ざーっと読んで、面白いなと感じる部分は多いのだけれど、一つ一つを掘り下げていないので、感動するまでには至らない。この本は、インターネットで購入したが、書店で手に取れば購入することはなかっただろう。NHKのプロジェクトXで取り上げたモノも書籍になっているが、あのくらいの内容ならと思う。いわゆる私の嫌いな雑学本。
    (お勧め度:50/100)2001/04/15登録

  • 「職人を泣かして建てた三〇〇年住める家」 萩原博子、角川書店、571円

     原木市場で買った500本の栗の木で直工で家を建てる話し。窓や風呂、瓦、土壁、建具などをすべて施主が手配し、仕事が終わるごとに現金払い。正直いって自分はやりたくないなという面倒さ。工事は1000万円も余分に掛かり、栗の木はピシッピシッと亀裂が入る。ガラスはひずみで割れる。こういう本でも書かなければやってられないという世界だな。モノの価値観を問う本である。文体は、やや気負いすぎ。
    (お勧め度:80/100)2001/04/14登録

  • 「愛の風俗街道」 花村萬月、光文社、848円

     花村萬月もついにネタ切れかという感じであるが、気負いなく暇つぶしで書いたのかと思われるような本。帯にも「愚かな愚かな一冊ができあがりました」とあるが、そのつもりで読めば暇つぶしにはなる。小説ではなくドキュメントで、著者の風俗遍歴が訥々と書かれている。意外なのは、小説とは違って、結構ノーマルであって、常識的な趣味あるということ。
    (お勧め度:55/100)2001/04/14登録