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書籍寸評

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書籍寸評(15) 2001年12月以降

 ディアブロというゲーム、集中し出すとなにも手がつかなくなる。寝る間も惜しんで・・・状況に陥る。ここ数ヶ月、本を読んでいないわけではないのだが、やはりペースは落ちている。なんとかこの状況から脱却しなければならないと毎日思いながら・・・。


  • 「僕、9歳の大学生」 矢野祥、祥伝社、1400円

     この本で、遅筆堂本舗での本の感想300冊である。
     さてこの本、タイトルどおりの本であるが、IQ200の9歳、アメリカの大学にいっている。著者の矢野祥とはこの9歳児(児?)であり、日本語文章もすごくうまい。日記の形式をとっている。全体を読んで得るものはない(遅筆堂本舗も)。なんかすごいなあと別世界のことのように感じるだけである。この本を出版した理由ってなんだろうとか、そんなことを考えてしまう。
     ちなみに、この子の動向としては、もう2年後が観てみたい。
    (お勧め度:62/100)2002/02/11登録

  • 「13階段」 高野和明、講談社、1600円

     まず一言、面白い。一気に読める。江戸川乱歩賞受賞作品。前回の『脳男』もレベル高かったが、今回もいいぞ。とにかく、読むベシ、である。
     死刑に至るまでの時間的制約がスリル感を増進させる。程良い緊張感と、常人には知ることとの機会が少ないであろう死刑執行手続きが新鮮であった。謎解きとしても、最後に一気に吐き出すような構成はよく考えられている。次作にも期待である。
    (お勧め度:95/100)2002/02/09登録

  • 「孫正義は倒れない」 吉田司+アエラ取材班、朝日新聞社、1500円

     苦労して読んだが、私にとっては大変苦手な分野の話でよくわからない。しかし、いわゆるベンチャー企業の肥大化、そのあやふやさは感じることが出来る。ソフトバンクが手がける事業などを雑誌や新聞などで見かけるたびに、なんだか得体の知れない、つかみ所のない感じが大丈夫かなという疑問に近いものになったことは事実である。
     この本で表現される「虚業の王」かどうかは、この不況の先を見なければわからない。
    (お勧め度:50/100)2002/02/06登録

  • 「都庁爆破!」 高嶋哲夫、宝島社、1429円

     アメリカ同時多発テロ、ビルの崩壊シーンは衝撃的であった。あの映像を見て何かを書いてやろうというのは、誰かが考えつくことであろう事は想像がつく。最初に書いたものの勝ちである。
     この小説は、出発はあのテロであることは間違いない。「ハード・シミュレーション小説」とあるが、まだまだニューヨークの事件が生々しい記憶に新しいので、この小説も新鮮に思える。あわてて書いたのか、だいぶこじつけっぽいところがあるが、一応素早い対応に(笑)拍手である。理屈っぽくなく、週刊誌のように読めるのがよい。なんか、桑原譲太郎の小説みないな感じ。
     出来ることなら、この小説を読む前に、都庁の展望室を体験してから、表紙の写真を見ながら読むといい。どうせ身近な建物を題材にしているのから。
     警告、3番煎じは駄目だぞ。もう一つ、ビックリマーク付きの書名ってなんか寂しい。
    (お勧め度:70/100)2002/02/04登録

  • 「沈まぬ太陽 会長室篇」 山崎豊子、新潮文庫、667円、597円

     結局、全5巻、一気に読み進む。どうして今まで手に取ることが出来なかったのか、後悔する。200万部以上も売れたのに。
     最初から最後まで読んでいて、やはりモデルとなる企業のことが気になる。年に数回しか飛行機は乗らないが、この小説が問題にしているのは、モデル企業の体質自体が真っ黒に染まっていて、それが長年にわたって継続していることである。それが当事者だけではなく、自分を含めて不特定多数の飛行機を利用する人の生命に関わってくるという影響の大きさ。いろいろ考えざるを得ない。小説だけの世界ではないのだという危機感を感じる。
     主人公の凛とした態度にも共感する。思わず自分の普段の行動を反省してしまいそうだ。久しぶりに心底感動した借金をしてでも読むべき本である。
    (お勧め度:100/100)2002/02/01登録

  • 「日記のお手本」 荒木経惟ほか、小学館文庫、514円

     この本も、「謝恩価格本フェア」の値引き本。
     「自分史を刻もう」と副題がついた本で、荒木経惟の「包茎亭日乗」以外では、大宅壮一や高村光太郎、植村直己など著名人の日記などが掲載されている。なんて事ない本であるが、自筆手帳などの写真もあり、ふれてはいけない部分を覗いてしまったような感じ。ほとんどが発表する予定でない中で書かれたもので、あまり気分の良いものではない。
     自分自身も1991年9月21日から日記を書いているが、だからといってこの本をお手本にしようとも、したくもない。なんだか理解しがたい本である。
    (お勧め度:50/100)2002/01/28登録

  • 「書斎の極上品」 塙ちと、小学館文庫、476円

     この本、新刊本屋で購入したのだが、「謝恩価格本フェア」とかで「この本は自由価格で販売いたします」というラベルが貼ってあり、380円で購入した。天や小口の部分に削った後があるので、一度は返品され再生されたものであろうが、一応新刊本である。
     まあ、そんなことはどうでもいいのだが、文房具は奥深い。いいものはいい。上には上。尽きることのない物欲がふつふつと湧いてくる。
     この本に登場するものには、私にとってどうでもいいものも多いが、一つこれだというのが万年筆である。しかも手作りオーダー物。この記事を読むだけでもこの本の価値がある。読んでみれば欲しくなるぞ。いつかは手に入れてやるぞと気合いが入る。そんな本である。
    (お勧め度:60/100)2002/01/27登録

  • 「沈まぬ太陽 御巣鷹山篇」 山崎豊子、新潮文庫、667円

     いよいろ、御巣鷹山の事故である。日航123便がモデルであることは間違いなく、すべてが著者の取材と資料にもとづき、当時の状況が再現されている。自分の記憶にもあることが小説の中で繰り返されるので、なんともリアルなのである。
     こうなると、この小説はほとんどルポともいえるのではないか、なんて思ってしまうほど現実の企業がイメージされる。インターネットで探してみると、日本航空機長組合のホームページに「日本航空の労務政策 考察「沈まぬ太陽」」という特集ページがある。これを読めば、この小説の背景がよくわかる。実録といっていいくらいだ。私のつまらぬ戯け文章を読んでいるよりすぐここに飛べ!
     また、日航123便のボイスレコーダーの記録も手にはいる。音声ファイルを再生すると、ことの重大さは「沈まぬ太陽」読んで面白かった、で済まなくなる。問題多すぎるぞ、この企業。
    (お勧め度:100/100)2002/01/27登録

  • 「R.P.G」 宮部みゆき、集英社文庫、476円

     病院の売店出購入し、診察待ちの間に読み終わった本。宮部みゆきの本を文庫本で読んだのは初めてであったが、この本は文庫書き下ろし。
     仮想空間、仮想現実。実際にありそうな事件である。登場人物や場所などを絞り込んだプロットには、周到な計画と筆力を感じ、さすが宮部みゆき、ここにあり、である。
     むちゃくちゃ感動するわけではないが、まさに病院の診察待ち、出張の移動中に読む程度であれば、最適の本である。
    (お勧め度:70/100)2002/01/24登録

  • 「沈まぬ太陽 アフリカ篇」 山崎豊子、新潮文庫、590円、667円

     お金がないので新潮文庫で上下巻。著者といえば、『白い巨塔』。続編も含めて昭和53年に読んでいる。未だにその時の興奮を忘れないほど集中して読んだ。テレビのドラマも面白かったね。
     『沈まぬ太陽』は明らかにイメージする企業がある。現実との比較はあえてしないが、なんらかの似たような状況があったのだろう。
     しかし、主人公はつらいね。報復人事って大なり小なり身近にも(あるいは自分も)あるので、かなり共感できる。アフリカでの描写もリアルである。時代を感じさせるが、それにしても見てきたように書く描写技術は素晴らしい。読むことに集中できる。残り3巻あるが、壮大なドラマの予感を十分い醸し出す。面白い。
    (お勧め度:90/100)2002/01/20登録

  • 「ZERO」 麻生幾、幻冬社、1900円、1800円

     上下巻の結構なボリューム。好みで言えば、前出「スノウ・グッピー」よりこちらの方が面白かった。しかし、如何せん、登場人物が多すぎる。その説明も端的であるので、読み始めてかなりの間理解が出来ず、苦痛であった。プロット、テニヲハ、映像的視点など課題は多い。が、部分的にはなかなかのエンターテインメントである。ZEROという組織のことは知らないが、公安警察の雰囲気は十分出ていると思う。潜水艦のシーンについても、日本の小説としては良くできている。
     著者は、資料収集力とかニュースソースなど侮れぬものがあるだけに、今後に期待したい。
    (お勧め度:70/100)2002/01/19登録

  • 「スノウ・グッピー」 五條瑛、光文社、1800円

     日本海での不審船撃沈事件、衝撃的映像と事実は記憶に新しい。カラシニコフの銃撃音とロケット砲の映像は忘れられない。
     この本は残念ながら、事実は小説より奇なり、を越えていない。リアル感がないのだ。なぜなら、結局、このスノウ・グッピーという実体がなんだか曖昧で存在感が無いからだ。これはすごいすごいと言いながら、何がすごいのか現実的でない。
     この本は帯の文句に負けている。「日本海で起きていることを我々は知らなすぎる」「365日のうち、周辺海域に情報収集船がいない日を探すのは難しい」。うーん、過剰広告だ。
    (お勧め度:50/100)2002/01/19登録

  • 「オトコとオンナの深い穴」 太田垣晴子、メディアファクトリー、1000円

     なんとも意味深なタイトルですが、この著者の作品って、楽しみながら作っているという感じがしてよい。特に今回のようなテーマを女性が取材するということが、新鮮であり、また後ろめたい雰囲気もしなくて好ましい。おそらく特に女性にとっては、知りたくてもなんとなく・・・という部分じゃないかな。
     この本、結構売れましたね。次はどんなテーマを取り上げるか楽しみです。
    (お勧め度:70/100)2002/01/16登録

  • 「東芝クレーマー事件」 前屋毅、小学館文庫、495円

     ビデオデッキを巡って企業と消費者のバトルって感じで、当時は週刊誌を賑わした。当時のホームページも満たし、テレビのワイドショーもおもしろおかしく取り上げた。この本は、第3者的な立場で双方の言い分と手段を著者のコメントを付けて紹介している。
     きっかけは、やはり企業側の悪態であることは間違いない。対して消費者はインターネット(ホームページ)という新たな方法でガシガシ攻撃した。まさに攻撃である。そして泥沼、足を抜くタイミングを逸し、騒ぐのは世間とマスコミばかり。火事は大きな方がいい理論でどんどん盛り上げていく。
     あー、やな世の中だねえ。この本を読んでの教訓。引くタイミングを逃すな、ってことかな。
    (お勧め度:65/100)2002/01/15登録

  • 「賭博師たち」 伊集院静ほか、角川書店、1300円

     平成7年の本であるが、最近購入して読んだ。読んでみて気が付いた。たぶん本箱をしっかり探せばこの本が出てくるのではないか。短編集であるが、なんだかそのうちのいくつかは読んだことがあるような気がする。
     伊集院静、生島治郎、大沢在昌、黒岩重吾、黒川博行、佐藤正午、清水一行、樋口修吉のもの。そうそうたる面子である。

     帯の文句がいい。「一瞬の迷い。昂る感情。頼れるものは自分ひとり・・・。」

     私にとって、賭け事はささやかなロマンである。今日のシンザン記念もはずした。昨日乗った福岡発全日空228便にあやかって購入したナンバーズ3もハズレ。座席は38Dであったので3838。このナンバーズ4もハズレ。ろーまんだなあ。
    (お勧め度:60/100)2002/01/14登録

  • 「Never ネヴァ」 三浦和義、モッツ出版、1350円

     面白い。会津若松のホテルの部屋で読んだが、集中して一気に読めた。人によっては、自分勝手な論理、いいわけみたいにとる場合もあるだろう。しかし、真偽はともかくとして、読み物としてはまったく楽しめる。下手な小説より絶対に面白い。
     それにこの本を読むと、この三浦和義という何とも怪しい主人公の性格が実によくわかる。長年の友人のように。疑ってはいけない。この人はこれが本当の姿なのだから。しかし、すごい人生だねえ。
    (お勧め度:85/100)2002/01/09登録

  • 「ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法」 福田和也、PHP研究所、1250円

     なんとも魅力的なタイトルではありませんか。帯には「究極の知的生産術」とある。
     しかし、この類の本はあまり役にたったことはない、経験的に。ひと月に100冊読むのは大変である。しかも、私にはそんな財力はない。しかし、この本のようなものを月に100冊読むことは可能である。なぜなら、この本の小タイトルと写真を順番に眺めて行けば、中身が想像つくからである。それだけの本である。
     しかし、あえて著者の名誉のために記しておくが、この本、著者の言わんとすること、伝えようとしている内用はごもっともであると私が感じていることは事実。要は、新しい発見は無かったという事である。
    (お勧め度:50/100)2002/01/04登録

  • 「彼岸の奴隷」 小川勝己、角川書店、1600円

     昨今の警察の不祥事に関する報道を見ていると、ここで出てくるような刑事もいそうだなという感じである。そういう意味では、リアルである。しかし、諸処の設定は、そんな馬鹿なというものも少なくない。ありえんぞってね。まあ、娯楽小説であるから細かいことは抜きにしたいが。
     何にしても、この小説のどこをとっても陰湿で暗く、将来に希望は持てない雰囲気を持っていて、これがこの本の魅力であるし、欠点であろう。私は、今の気分的には敬遠したいところであるが。
    (お勧め度:60/100)2002/01/02登録

  • 「北朝鮮を知りすぎた医者」 ノルベルト・フォラツェン、草思社、1800円

     ずいぶんと売れたし話題にもなった本。
     北朝鮮という国は、国として成り立っているのが不思議なくらい危うい状態である。とくに庶民レベル、悲惨である。これから脱却する見込み、どう考えても期待薄。可哀想な国である。飽食が幸せとも思わないが、これでは不公平過ぎる。
    (お勧め度:70/100)2001/12/31登録

  • 「議会という装置」 高橋啓子編著、長征社、2400円

     神戸空港住民投票臨時市議会記録。編者が録音した住民投票条例にかかる本会議や委員会審議を起こしたものである。法や会議規則に基づく議事録ではないので、一語一句記録はされていないが、十分審議の状況や中身が推察できる。
     1998年、住民投票条例は否決されたが、阪神淡路大震災後、復興事業など多くのお金を使い再生を目指している中での空港計画。地方空港については賛否両論で、他の公共事業と同様、見直し論が華やかであるが、神戸の財政状況、事業の優先度、費用対効果、この本で推察できる行政と議会と住民との意識の乖離、十分な審議の有無等々を考えていくと、この神戸空港についてはいかがなものかというのが素直な感想である。これは断定的に反対するものではなく、この本を読んだ限りの感想である。ご留意願いたい。
     私は、空港問題にはそれなりの興味があり、数々の情報も得ていろいろ考えている。多くの公共事業見直し論が都会中心の考え方、東京から見た地方という視点が多く、地方に住む人間として腹に据えかねることが多い。地方空港をひとまとめにして不要という議論もテレビなどの偏向報道で時々見かける。神戸にしても静岡にしても中部国際(愛知県)、それぞれ状況が違う。そういった意味で、この本は、神戸空港の是非を考える上で、大変参考になる。編者に敬意を払いたい。
    (お勧め度:90/100)2001/12/31登録