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書籍寸評

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書籍寸評(17) 2002年7月以降

 本を読むスピードが落ちてきた。その理由、(1)集中力が歳と共になくなってきていること。(2)家庭を持ってじっくりと読書を嗜む時間がとれなくなったこと。(3)仕事も責任ある立場になってきたので、家に戻ってもなかなか仕事を切り離せない。(4)書店に行く時間がない。(5)小遣いがない・・・本が買えない。(6)書籍以外の情報が世の中にあふれて、それらをこなすだけでオーバーフロー。
 ある人が言った。「結婚と子供は知的生産の最大の敵」と。人生の選択としても、優先順位と費用対効果を考えていかなければならない時代になった。すべてを忘れて穏やかに過ごしたい。

  • 「今日の必ずトクする一言 メカニクス・エレクトロニクス編」 山本智矢、CQ出版社、1800円

     「今日の必ずトクする一言 パソコン・携帯電話・インターネット編」の続編、と言っても繋がりはなく、身の回りの工業製品をこれでもかというくらい掘り下げてのウンチク、研究をしている。○○○のナゾ、と疑問を追求し、調べ、実験し検証していく。ものすごい知識と好奇心、脱帽である。
    (お勧め度:95/100)2003/02/17登録

  • 「ブラックホークダウン」 マーク・ボウデン、ハヤカワ文庫、各660円

     映画を観てから読んだもの。文庫本で上下巻。ソマリア紛争にアメリカが介入した事件を扱ったもので、映画で表現できなかったもの、映画では理解できなかったことがよく解る。この本を読んで映画を3回ほど観たら、デルタフォースとレインジャーの違いがほとんど見極めが出来るようになった。
     ほとんど海外小説を読まないが、興味のある内容はすんなりと頭の中に入ってきて、思ったより読みやすかった。同名映画を観るのであれば、絶対に読んだ方がよいと思われる本である。
    (お勧め度:68/100)2003/02/12登録

  • 「side B」 佐藤正午、小学館、1500円

     競輪エッセイを集めたもの。しかし、新刊の割には内容が古いところが残念。
     佐藤正午の小説の雰囲気から想像が出来ない競輪という趣味、好感が持てる。ギャンブラーと言うべき有名人はたくさんいるが、著者の場合はあくまでも趣味という嗜み方が私の感性と一致。読んでいて微笑ましくなる。所詮、死ぬか生きるかのギャンブルは出来ない小市民のエッセイだ。
     競輪はギャンブル(日本国内での公営ギャンブルね)の王者だと思う。この魅力、少しでも感じるのであれば読んでみる価値あり。
    (お勧め度:70/100)2003/02/11登録

  • 「虚貌」 雫井脩介、幻冬舎、1700円

     つまらない。帯の「本年度(2001年)最大級の収穫だ」はまやかしである。なぜか・・・。古くさい体裁。また、緊張感の感じられない文体と進行。登場人物に魅力を感じない。トリックが最悪など。
     不況の出版業界で上場を果たした幻冬舎。こういう失敗もあるのかという感じ。読み終わるまで10日ほど掛かったぞ。
    (お勧め度:40/100)2003/02/06登録

  • 「戦争中毒」 ジョエル・アンドレアス、合同出版、1300円

     アメリカがどうやって戦争のきっかけを作ろうかと画策している昨今、この本だけを見れば、まさにアメリカに非あり、って感じで結論が出てしまう。
     『ADDICTED TO WAR』の日本語版で、漫画と謳っているが文字がやたら多くて絵から訴えるものはほとんどない。アメリカの戦争の歴史がよく解り、嘘か本とか解らないがまんざら嘘ばっかでも無いだろうと言うことで、今のイラク攻撃を考えるのにはいい材料となる。偏向内容とは言え、アメリカの軍事費の使いようは異常であると思う。比較数字もそのまま受け入れては危険だと思うが、わかりやすい表現で著者の気持ちはよく解る。
     副題で「アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由」なんて週刊誌の見出しみたいなものが書いてあるが、結論は簡単で、つまらない。
     一つの見方、データとして読んでみる分には良いだろう。
    (お勧め度:60/100)2003/02/05登録

  • 「夏日」 鳴海章、光文社、1700円

     いいねえ、青春って。なんて感想がぴったりの小説。実に淡く切ない、そしてさわやかな読後感が気持ちよい。傑作です。
     1979年という設定も、自分が過ごしてきた年代と同じで、なんか懐かしくも感じる。炎天下の東京。ああ、こういう時もあったんだなあ。ごく普通の真面目な青年が主人公。とても好感が持てる。内容が嘘が感じられずとても正直。著者の自伝的青春グラフティ。 
     借金しても読むべし。でも、ハードカバーでもないのにこの値段は高いと思う。
    (お勧め度:95/100)2003/01/30登録

  • 「半落ち」 横山秀夫、講談社、1700円

     読んでいる途中で直木賞候補と報道される。さもあらん。
     面白い。導入部から引きつけられる巧みさは逸品。しかし、どうも最後のオチ、気に入らない。ここまで引き延ばした割には、そんなもんかという感じ。私にとって衝撃的な結末に感じられなかった。残念。とは言え、全体的に良くできた構成で、飽きさせない。
     少し内容にふれるが、介護の問題、これは深刻。この物語の中でも、それぞれの家庭でそれぞれの問題を抱えていて、こういったことが日本中で悩み、疲れ、頑張っている状況がある。この小説の重要なテーマ。しかし、結末はそんなこととは関係ない部分で閉じられている、この辺が不満。ものすごく面白いのだけれど。
    (お勧め度:85/100)2003/01/13登録

  • 「あの頃ぼくらはアホでした」 東野圭吾、集英社文庫、552円

     小説家のエッセイは読まない方がよいと思っているのだけれど、ついつい手にとってしまった本。小説は切なく心にしみいるモノが多い著者とはほぼ同年代で、この本の内容も共感できるのだけれど、所詮単発の短文で深みが無く、軽い読み物程度。
    (お勧め度:50/100)2003/01/08登録

  • 「千里眼の瞳」 松岡圭祐、徳間書店、1900円

     この人、やっぱり千里眼シリーズだ。間違いなく、楽しませてくれる。
     今回のメインテーマとして、北朝鮮の拉致疑惑があるが、昨年からの拉致報道以前の小説であるので、少し現実の方が先行し、小説の方はあくまでも小説という感じである。読者に知恵が付いている。逆に、それだけに集中できる。また、米国連続テロも取り上げているが、これも映画「9・11」を見てしまっているので、現実の方が当然リアルであり、著者に不利かなと思う。
     しかしながら、そんな部分を差し引いてもさすが千里眼シリーズ、展開の早さと構成の巧みさ、登場人物の人間味がうまく表現されていて極上の娯楽小説に仕上がっている。面白い。
    (お勧め度:90/100)2003/01/07登録

  • 「昭和天皇」 出雲井晶、産経新聞社、1000円

     なんなんだこの本は。新興宗教のバイブルか、戦前の教科書か、はたまた「偉大な首領様」を連呼する北朝鮮報道を想像してしまう。洗脳されそうである。しかし、昭和天皇の生涯をこれだけわかりやすく著している本もない。また、とらえ方は別として素直な感想としては、すばらしい人物であった、なかなか苦労している、波乱に満ちた生涯だったんだ、なんても感じる。歴史書としてでなく、読み物としては面白い。
     著者は、画家で作家。神話関係に強い。
     ちなみにこの本、昭和天皇生誕100周年記念。
    (お勧め度:80/100)2003/01/06登録

  • 「マジシャン」 松岡圭祐、小学館、1680円

     残念ながらつまらない。内容に集中できず、随分と読み終わるまで時間が掛かった。
     マジックと犯罪、やはり強引で全体的にストーリに無理が生じている。警視庁の間抜けで緊張感がない。XEウイルスとやらも嘘っぽい。
    (お勧め度:60/100)2003/01/05登録

  • 「さかだち日記」 中島らも、講談社文庫、533円

     「さかだち」とは「酒断ち」ですね。本物のアル中が書く文章はおもしろい。いくつかアル中小説も書いているが、日記となると実生活の中での禁断状況は、リアルすぎる。小説でないところが恐ろしい。
     しかし、忙しいね。著作業以外にも、バンド、劇団、テレビにラジオ、落語に学園祭、まさにマルチ人間である。
     野坂昭如との対談はつまらない。
    (お勧め度:70/100)2002/08/16登録

  • 「バカラ」 服部真澄、文藝春秋、1905円

     賭け事にどっぷり浸かって、金銭的にどんどん追いつめられ、事態は悪い方向にと向かっていく。読んでいて息苦しくなってくる。アンダーグラウンドマネー、巨額の金が動き、その金に群がる。政治と金。最近の報道をみていると、妙にリアルであり、現実的でもある。
     残念ながら、この巨額の金の動きについては詰めが甘い。もっと有効に劇的にインパクトの強い使い道があってもよかったと思う。いかにもありそうな設定は小説的にみて、面白味に欠ける。
    (お勧め度:60/100)2002/08/15登録

  • 「連合赤軍「あさま山荘」事件」 佐々淳行、文春文庫、514円

     著者、どっかでみた名前と思っていたら『東大落城』という本を過去に読んでいた。ふーん、やっぱり。なにがって、この意気込み、高揚感、もう独特の文章だもの。あさま山荘事件から20年もたってこのテンションの高さはすごい。なんといっても、武士ですから。もっと客観的に、冷静にかけないのかなと心配になってしまう。
     内容は、現場最前線からの報告、ということで実にリアルであり、雰囲気はよくわかる。当時のことはうっすらとしか覚えていない。今読んでも、すごい事件だ。映像でみたいところである。
    (お勧め度:70/100)2002/08/10登録

  • 「操縦不能」 内田幹樹、原書房、1600円

     著者は現役機長。確かにリアルである。全体的にちょっと説明不足のところがあるが、わからなくなるわけでもない。以外に最後があっさり。亡命者はどこに行ってしまったんだよー、と疑問。最初と最後のギャップがありすぎ。構成が甘い。
     ジャンボジェット機を飛ばすことについては、面白い。実にコクピット内の動きとかパターンがリアルであるし、体験からの情報であるため、その辺の空気を感じることができる。
     何を主眼にするのか。バラバラな感じがするが、純粋に楽しむための読み物であれば、細かいことは言わないことしよう。
    (お勧め度:65/100)2002/07/21登録

  • 「「よど号」事件122時間の真実」 久能靖、河出書房新社、1600円

     昭和45年の事件、私は7歳。息子と同じ歳だった。しかし、まったく記憶にないところが情けない。その後、大人になるにつれ、時々報道や書籍などで「よど号」の名を聞いたりするが、おおよその状況以外、具体的に知る機会はなかった。
     最近、犯人の娘達が帰国したこと、犯人が帰国の準備をしているとのことなど報道されている。だからこの本を読んだわけではないが、それにしてもこんな事件だったんだと結構驚いている。多くのハイジャック事件の中でも特異な部類であろう。
     赤軍派の動機の幼稚さ、計画性の無さ、場当たり的で身勝手な犯罪。情けない。気合いを入れて帰国するように。そしてたっぷり自己批判。心して日本の土を踏め。
    (お勧め度:75/100)2002/07/17登録

  • 「スタパ斎藤の物欲番長(参)」 スタパ斎藤、アスキー出版、1400円

     相変わらず買いまくりの人であるが、失敗の連続でもあって面白い。キーボードについては、私もこの人と同じで完璧なものを追い求めているが、この本の中でもIBMスペースセイバーキーボードを買っている。気持ち、わかるなあ。それから、使うことよりも買うこと、買い求めることが楽しいのですね、多分。ストレス解消とか。私もそういう生活したい〜〜って気持ちになる本である。
     ちなみにこの本の帯に注目、裏側を見ること。「君が買ったらオレにくれ」ってメッセージ入り。
    (お勧め度:65/100)2002/07/10登録

  • 「砦なき者」 野沢尚、講談社、1600円

     最近金欠のため読むことが少なくなったエンターテイメント系の小説であるが、たまに読んでみると、いや面白い。久しぶりだからと言うことではなく、実に小説作りが巧みなのだ。「破線のマリス」を彷彿させる、メディアを題材としたストーリは、善作を超えていると思われる。先の読めない展開は、時間の経つことを忘れさせる。実に面白い。身近なテレビの中にもありそうなスリルを見事に表現している。帯の一言。「テレビを信じてはならない」。
    (お勧め度:90/100)2002/07/09登録

  • 「だれも知らない下水道」 加藤英一、北斗出版、2500円

     公共下水道事業。地方自治体の財政を将来に渡っても圧迫し続ける。公共下水道については、なかなか素人が読めるようなわかりやすい本がない中で、この本は実にわかりやすい。データと簡潔な理論に基づき、嫌味なく論じている。
     前後して、某所で著者の講演を聴いた。実に温厚で真摯な方で、約2時間、有益な時間を過ごした。この本は、公共下水道に疑問を持ったらまず最初に読むべき本である。
    (お勧め度:90/100)2002/07/08登録

  • 「今日の必ずトクする一言 パソコン・携帯電話・インターネット編」 山本智矢、CQ出版、1900円

     人気Webサイトの活字版。内容的には2年ほど前までのものになる。これだけの技術系のノウハウは貴重である。しかも、広範囲、実験、理論に基づく論法は小気味よい。著者は、地球環境に優しいB級テクノロジーと謳う。まさに知識の宝庫。素人の私にはわかりかねるものが多いが、それにしてもすごい。こだわりの方、是非手にとって見るべし。
     -- TODAY'S REMARK -- http://www.tomoya.com/
    (お勧め度:95/100)2002/07/07登録