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Since 1997/06/07
書籍寸評
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書籍寸評(18) 2003年2月以降
- 「クライマーズ・ハイ」 横山秀夫、文藝春秋、1571円
『半落ち』の著者。売れに売れまくっているようであるが、確かに書き込んであり読み応えがある。山崎豊子『沈まぬ太陽』の舞台、あの御巣鷹山の日航機事故現場における報道の在り方などを描いている。親子関係、社内の確執などなど、うまく絡めてぐっと奥行きを深くしている。さすがだ。
有名な実際に起きた事故を取り上げているので、リアル感も増している。
表紙の紙質もさわやかな色合い、デザインもなかなかよろしい。寝る間を惜しむほどではないにしろ、全体的に好印象の小説だ。
(お勧め度:70/100)2003/12/17登録
- 「ゲームの名は誘拐」 東野圭吾、光文社、1600円
久しぶりのこの著者の本を読んだ。赤貧の遅筆堂、単行本を読む(買う)ことがめっきり減ってしまっている。情けない。書店に行っても、読みたい本、面白い本を探すことが出来ない。勘が鈍っている。
でだ、大枚はたいて買ったこの本、残念ながら失敗であった。いや、面白のだけれど、半日で読んでしまえるほどのボリュームのなさ、読みやすさ。たとえが貧相なのであるが、あえて言えば、赤川次郎作品のように軽い。それから「放課後」なみに後味が良くない。もう一つ、読んでいる内に結論が見えてくる、なにかいいわけづくりのストーリで、どうしちゃったのという感じ。残念である。
大体、この作品、映画(「g@me」という陳腐な作品名)になったようであるが、それをあしらった帯も興ざめ。ほんと、何でこんな本を選んでしまったのか。血迷っている、をれをれ反省しろ。
(お勧め度:50/100)2003/12/16登録
- 「辞書と日本語」 倉島節尚、光文社、700円
「国語辞典を解剖する」と副題が付いている。作者は三省堂の社員として辞書の編纂に40年も関わってきた人。学者ではないので話が面白い。辞書の編纂の裏話が満載である。見出し語をどのように選ぶか、なんて気の遠くなる話。しかも、わかりやすく、頑固でないのもよい。例えば、「ら抜き言葉」は言葉の変化、と容認。うちの子にも、ら抜き言葉はその都度直させているが、自分も知らぬ間に使っているし、こういった本を読んでみると、ちょっと考えてしまう。国語辞典を題材とした読み物としては、逸品。構えずに楽しめるちょっと知的で小粋な良書である。
(お勧め度:95/100)2003/10/09登録
- 「死んでもカメラを離しません」 宮嶋茂樹、文藝春秋、1400円
本当に面白いね、この人。仕事楽しんでいるもの。日本にいても海外にいても、その姿は第一線にいるのが素晴らしい。カメラという武器を持ってジーと相手を狙う不肖・宮嶋。命をかけているよね。しっかり写真学部なんて出ているところもよろしい。もう本当の写真バカ。感動ものである。そして人を楽しませてくれる。東京拘置所のエレファント・マンがよいぞ。
(お勧め度:80/100)2003/10/08登録
- 「不肖・宮嶋の一見必撮!」 宮嶋茂樹、文藝春秋、1286円
「週刊文春」に連載していたもの。事件があれば飛んでいき、あらゆる手段を使って写真を撮ってくる宮嶋。後で読んでみればおもしろおかしく楽しめるのであるが、やっぱり当事者は大変であっただろう。しかし、その大変さを笑いと冗談で感じさせないところが不肖・宮嶋なのだ。扱っている内容が、限りなくばかばかしいものから、オウムの潜入ものまで、バラエティ豊かで面白い。当然であるが、現場主義の宮嶋には共感を得ることが出来る。
(お勧め度:80/100)2003/10/07登録
- 「不肖・宮嶋 金正日を狙え」 宮嶋茂樹、文藝春秋、1600円
金正日が北朝鮮を出国してロシアに行くという情報を得た宮嶋がその姿を撮影しようとロシア国内を飛び回る。そして、金正日の姿を撮影した初めての日本人となる。
荒涼としたシベリアで北朝鮮のSP、ロシアのミリツィア(民警)や完全武装のオモンの目をかいくぐり、撮影ポイントを確保しレンズを向ける。この行動力とパワーはすごい。常人では出来ないことであるから、無茶苦茶であるけど面白い。根っからの特ダネ、スクープカメラマンである。
(お勧め度:90/100)2003/06/14登録
- 「空爆されたらサヨウナラ」 宮嶋茂樹、ザ・マサダ、1300円
相変わらず不肖・宮嶋シリーズである。
全面戦争となったコソボに潜入。やっていることはむちゃくちゃであるが真実を見ている。草原に首が転がっているシーン、列車にミサイルを撃ち込まれたシーン、その現場を実際に見て、臭いを嗅ぎ、触れる、感じる。これだけは体験した人しか語れないし、これについてあれこれ言う資格は現場にいた人だけである。宮嶋は無茶苦茶であるが、机上の理論では語れない真実を見ているのだ。
(お勧め度:90/100)2003/06/13登録
- 「ああ、堂々の自衛隊」 宮嶋茂樹、双葉文庫、581円
不肖・宮嶋のデビュー本である。 最高に面白い。PKO活動でカンボジアに出向いた自衛隊に同行し、基地周辺に野宿した宮嶋。次から次にと出てくる右寄り発言。小気味よすぎる。そうなんだよね、こうやって現地に出向いて本音を語る人がいな過ぎるのだよ、この日本には。そう思っていてもだ。そういった意味で、宮嶋、よくぞ言ってくれた、この不屈の精神感服するぞと褒めてあげたい。
(お勧め度:90/100)2003/05/22登録
- 「ネェちゃん撮らせんかい!」 宮嶋茂樹、ザ・マサダ、1400円
不肖・宮嶋である。副題に「ボスニア原色美女図鑑」観察記とある。まさにその通りの内容。休戦間際のボスニアに乗り込み、美女を捜しまくり、写真を撮って回る取材記である。不謹慎であるが、かなり面白い。
確かに美人ばかり、戦時下にあるとはとても思えない洗練された女性達ばかりであるが、話を聞いてみると肉親を亡くしたり家族離ればなれとか、かなり大変な状況である。
著者の突撃精神とくそ度胸には感心する。体験も奇抜だから読んでいて面白い。そして、現場だから感じる真実も見えてくる。たぶん、政治家の話より事実を述べているのであろう。
(お勧め度:80/100)2003/05/20登録
- 「あ・じゃ・ぱん」 矢作俊彦、角川書店、2900円
その昔、雑誌『NAVI』で連載して、これは面白そうだから単行本で読もうと雑誌連載中は全く読まずに我慢していた小説。ところが、いつまでたっても単行本は出ず、どこかで発行されたよとの記事を見たときには現物を書店で見ることが出来ず、結局、いくら探しても手に入れることが出来なかった。そして数年、突然、出版社を変えて再販。慌てて購入した
経過である。
しかし、値段が2900円。これだけでもボリュームが想像できるだろう。壮大で、はちゃめちゃであるが、膨大な知識と見識がつまったストーリである。『吉里吉里人』以来の傑作である。こういうストーリは書いていて面白いだろうと想像する。もちろん、そこには緻密な構想が存在をしているのだろうが。
何かと忙しい時代、そういうときにじっくり読んでみるべき本である。読後の満足感は格別であろう。
(お勧め度:90/100)2003/05/19登録
- 「不肖・宮嶋 史上最低の作戦」 宮嶋茂樹、文春文庫、571円
これはタイトルはつまらないけど内容は面白い。特に「宮嶋、自衛隊に従軍する」は、本当にすごい。4泊5日のレインジャー訓練、八甲田山雪中訓練など、まさに宮嶋、根性の奮戦記である。その他、北朝鮮入、オウム、モザンビークPKOなど話題豊富で大いに笑える。少し、というよりもだいぶ語りすぎであるが、それはそれでこれが宮嶋という感じで楽しめる。写真が少ないのが残念。宮嶋茂樹は写真家なんだからもっと見てみたい。
(お勧め度:90/100)2003/05/18登録
- 「すぐやる課をつくった男」 樹林ゆう子、小学館、1323円
この男は、松本清である。あのドラッグストアー「マツモトキヨシ」の創業者である。松本清は、松戸市の市長となり、「すぐやる課」を創設。全国でもこれをまねて「すぐやる課」ブームにもなった。そういえば私の住んでいる隣町でも数年前に作ったが今は無くなってしまったと思う。なかなかこういうのは続かないのが一つのパターンであるが、松戸市では今も継続しているそうだ。これには驚いた。
松本清は、市長になって最初の挨拶で「給料は頂きません」と職員の前で述べたという。面白い。とにかく発想がマツモトキヨシであって、従来の役所の慣行を無視したアイデアで行政を進めていく小気味よい政治家であったらしい。この本は
褒めすぎのようであるが、面白い人物であったということがよくわかる。
(お勧め度:90/100)2003/05/11登録
- 「野獣死すべし」 大藪春彦、角川書店、300円(当時)
本を買うお金が無くなってしまったので、本棚から適当に拾い出して読んだ本。なんと昭和54年初版である。著者は1996年に逝去しているが、当時はばりばりの現役で輝いていたなあ。次から次への大藪小説を読みあさったモノである。
あまりにも有名な書名であるが、この文庫は「復讐編」も併録している。今読んでも、主人公伊達邦彦の生活スタイルってかっこがいい。まさにピカレスクロマンの雄である。
文庫本の表紙も、出てくる車も銃もむちゃくちゃ時代を感じさせる。よき時代であったなあと言うのは年寄りの戯言か。
なお、この文庫本の解説は、なんと片岡義男である。
(お勧め度:85/100)2003/05/11登録
- 「青春登山大学」 高野亮、白山書房、1800円
山岳系の源氏鶏太みたい。
この作品、句読点や語句の使い方などなど、なんかヘンである。基本的に文章になっていないところが多い。だから読みにくい、集中できない。本人、読み直したのかな、校正はしたのかな、と疑いたくなる。基本的に小説として失格だ。
内容的にも面白い題材なのに、実に薄っぺらく描いている。とても渾身の350枚とは言えない。大体、クライミングを描いていて、緊張感が感じられない、リアルさも感じられない、冬季登攀なのに暖かみを感じる。残念ながらアルピニストの生き様は描ききっていない。残念である。
(お勧め度:30/100)2003/04/30登録
- 「君の夢はもう見ない」 五條瑛、集英社、1800円
連作短編。今回は中国文化思想研究所が舞台。例えば007のような突飛な、または殺伐としたスパイ小説ではなく、いかにも存在しそうなスパイものに仕上がっている。過去の著者の作品はどうも抵抗があったのであるが、今回は面白いと感じた。なぜなら人間を描いたからである。従来は、国際スパイ小説なんていう分野にこだわりすぎたような、背伸びをしたような内容であった。本作は、親近感を感じる魅力あるもと諜報員とそれを取り巻く人間関係。うまくまとめ上げている。これは、スパイ人間模様である。
(お勧め度:85/100)2003/04/20登録
- 「誘惑の果実」 真保裕一、集英社、1900円
読んでいる途中から感じたのは、ストーリづくりに苦労しているな、ということ。産みの苦しみを感じる文体である。確かに複雑に絡んだ展開は面白いのであるが、残念ながらすんなりと頭の中に入ってこないぎこちなさを感じるのだ。
筆がのってこない気持ちの悪さ。読後感は曇天の空。
(お勧め度:70/100)2003/04/15登録
- 「千里眼のマジシャン」 松岡圭祐、小学館、1600円
まず、最悪のタイトルであること。何とかならないのかこれ。
とってもつまらなかった『マジシャン』で登場する間抜けな警察がまた千里眼シリーズで出てくるとは思わなかった。いつも時事ネタぽいのも玉に瑕であるが、今回は巨大カジノが登場。しかも絶対行きたくないなという設定でこれも残念。もっと魅力的なものとすべきではなかったのかな。読者を引き込むには。
今回は、事件のからくりも幼稚であった。後半の潜水艦での戦闘シーンも『沈黙の艦隊』で使っているネタでつまらない。総体的に目新しいものはなく、新鮮みがなく、岬美由紀の魅力も半減。残念だ。しかし、一気に読んでしまったのも事実。
次作に期待する。
(お勧め度:70/100)2003/04/15登録
- 「日本発!世界技術」 溝口敦、小学館、1500円
前出の「ものづくりの時代」に通ずる内容であるが、世界に誇る日本のハイテク技術はこの不景気の世の中、希望が持てる話題である。39の技術を紹介しているが、結構身近なものもあって興味深い。特に、私が最近上と下らか(つまり口と尻)から飲み込んだ内視鏡なんかは、技術の進歩がまさに生命に直結して私たちがその恩恵にあずかることが出来る。素晴らしいことである。このような技術を生み出す日本という国に誇りを持つべきである。
(お勧め度:70/100)2003/04/08登録
- 「発火点」 真保裕一、講談社、1900円
つまらない。だらだらと女々しい文章が続き、苦痛であった。なんでこんなにメリハリがないのかと不思議に思っていたら、新聞小説であったようだ。新聞で読んでいた人も苦痛であったろう。
全体的に、真保向きではない内容であると思うが、もしこのテーマをかき込む出あれば、全体を3分の1程度にそぎ落としてもらいたい。何度も書くが、読み進むに苦痛であった。
(お勧め度:40/100)2003/02/27登録
- 「ものづくりの時代」 小関智弘、NHKライブラリー、780円
「町工場の挑戦」と副題にある。主に墨田区とか大田区の町工場での手作りの製品、ネジから鍋、ハイテク製品まで、なんでも作ってしまうマイスターの技。これらを紹介している。不可能であろうと思われるものを技術とアイデアで作り上げてしまう人の手は素晴らしい。
(お勧め度:70/100)2003/02/20登録
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