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書籍寸評
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書籍寸評(19) 2003年12月以降
- 「 銀行籠城」 新堂冬樹、幻冬舎、1500円
なんともタイトルも含めてストレートな小説であるが、もう少し何とかならなかったのかい、と言いたい。要するに単行本1500円を払って読むには何ともお粗末。これだけのお金を読者に払わすのだから、もう少し構想を練って書き込んで貰いたい。読み終わってだからなんなんだとハテナがいっぱいである。結末を考えずに書き出す赤川次郎だってもっとまともな小説を書く。
帯には「ノンストップ、息もつかせぬ犯罪小説の最高傑作!」とあるが、この内容では幻冬舎に対する信頼も失いかねない。納得したものを書くことが読者を信頼させることである。納得できないものを出す(出版)することは読者に対する裏切りである。著者は、反省すべきである。
(お勧め度:50/100)2004/05/05登録
- 「蒼い瞳とニュアージュ」 松岡圭祐、小学館、1300円
また新たなカウンセラーの登場。今回は、今までのシリーズと切り離した設定で、このカウンセラーもあえて特徴的な人物にしたようだ。しかしながら、魅力という点では岬美由紀、嵯峨敏也には、全然かなわない。私の好みであるが。
でもさすがに売れっ子作家、内容は一気に読ませる魅力あり。終盤安易な感じはするのは、忙しすぎてそこまで書き込む余裕がないと言うことか。残念であるが、また次を早く読みたいという読者としては難しい選択になる。そろそろ、一度、じっくりと取り組んでみたらどうかと思う。そんなものを読んでみたい。期待する。
最後に、この本のカバーのデザインが美しい。紙質のツヤ、タイトルとぴったしの青を基調とした構成。下部のローマ字には閉口であるが、ここは帯で隠れている部分。手を抜いたか、白いままで良かったと思うが。
(お勧め度:85/100)2004/04/20登録
- 「あなたの個人情報が盗まれる」 櫻井よしこ、小学館、1400円
読み物としては面白い。週刊誌感覚かな。でも真剣に読んでみると、腹が立ってくる。なんだかやたらと不安を煽る書き方と理論。いかがなものか。この本が出版されて半年以上が経っているが、住民基本台帳ネットワークでセキュリティの分野ではどんな問題が出たのか。でてないでしょ。なりすましが一件ほどあったかな。新聞報道くらいでしか知ることが出来ないけれども。いずれにしろ、システムとして安定稼働しているのではないかと思う。じゃあ、何なのか、この本の不安の煽り方。問題提起をすることは必要である。でも必要ないことの問題提起はパフォーマンスである。今後の検証をして行くことが必要ではないか。次作(続編)に期待する。
(お勧め度:60/100)2004/04/19登録
- 「食う寝る座る永平寺修行記」 野々村馨、新潮社、1600円
面白い。永平寺に出家し、一般人が知り得ない修行を経験した著者が、その体験を綴ったもの。これが面白いのだ。すべての行動が仏法に基づき定められており、それに従わなければらならい永平寺の中の生活。最初は理不尽と思われ、不可能と思っていたそれら生活がだんだんと身に付き、これが修行なのだと理解をしていく過程がうまく書かれている。
著者がお寺の跡継ぎではなくごく普通の家庭に育った人であるというのが、その目線が自分と同じ感覚であるということに繋がっているのであろう。著者に対して、親近感を持つことが出来る。また、実にリアルに感じられるのだ。
これを読んでみると、自分には絶対に無理だろうなと確信することが出来る。そして宗教というものの歴史とその奥深さ、尊さというものが著者を通じて知ることが出来る。納得できる一冊である。もうひとつ、この著者のその後を知りたい。その後のことを綴った本を読んでみたい。
(お勧め度:79/100)2004/04/18登録
- 「たぬきランド ネオ」 西原理恵子、山崎一夫、実業之日本社、951円
このコンビ、面白いのだけれど内容薄いんだよね。ついつい買ってしまうけど、あまりにも安直なのだよね。特に西原が師匠と呼ぶ山崎一夫の文章。かといって西原の絵が面白いかというとそうでもない。西原の自滅的行動は笑えるけど、その度合いは以前に比べるとそれほどでもない。飽きがきた。
じゃ、何で買ったの?というと、単純に「もれなく特製マウスパッドつき」と帯に表示されていたから。マウスパッドが綴じ込んであるのだ。別にマウスパッドが欲しいわけではないけど、なんとなく買ってしまう物好きの消費者心理をついているわけである。馬鹿だよねえ、オレって。
(お勧め度:40/100)2004/04/14登録
- 「捜査一課秘録」 三沢明彦、光文社、1600円
オウム真理教の麻原の取調べを始め、取り上げている事件はとても興味のある内容であるが、どうにも進行がバラバラで読みにくい。集中できない。なんでこんな書き方をするのだろうか。事件から時間が経ったから明らかにされたようなことも多く、興味を持って読んだものであるが。
それにしても、日本の捜査って地道な作業の積み重ねであるということがよく解る。テレビドラマのように派手さはなく、黙々と作業をこなす捜査である。その苦労には脱帽し感謝をしなければならない。昨今、凶悪犯が増えている。当たり前のように殺人事件が起こる。報道される。理屈では通らない犯行も多々ある。これらの抑止力としての警察の厳しい、確かな犯罪捜査は、今後の日本にとって特に必要だと思う。
(お勧め度:65/100)2004/04/13登録
- 「無名」 沢木耕太郎、幻冬舎、1500円
おそらく著者の実父の死を描いたもので、親子の情、父への尊敬の眼差し、そんなものがじわりと心にしみこむ小説である。何もなさなかったとつぶやく無名の人の死、しかし著者にとってものすごく大きな存在であったと事が父親の死に接して感じることの驚き。静かで荘厳な美しさ、格調高い沢木文学の真骨頂である。
(お勧め度:95/100)2004/02/22登録
- 「希望のマッキントッシュ」 山川健一、太田出版、1480円
まともに動かない、フリーズする、すぐ壊れるの印象が強いマックであるが、OSXになってから気になる存在である。著者は、『マッキントッシュ・ハイ』も書いているが、ものすごい思い入れでまさにハイになっていて、どこまで信用して良いのかわからない。kakaku.com の掲示板などを読むとどうも違う!なんて感じる。
冷静になって読んでいくと、確かに優れているのだろう。Windowsのセンスといい、発展性のなさと言い、いい加減ウンザリ来ている時期でもある。いまだにXPを使う気が起こらない。だから、一度は使ってみたい、マッキントッシュ。そういった気に一瞬させる本である。
(お勧め度:85/100)2004/02/11登録
- 「カウンセラー」 松岡圭祐、小学館、1400円
「催眠」続編という位置づけであるが、あまりにも時間が経っているのでそうなのかと思う程度。これはこれで単体で充分面白い。
主人公は嵯峨敏也であるので、ちょっと迫力に欠けるが、キャラクタとしては好ましく作られている。
この著者は、とくかくテンポ良く読ませ、適当に納めて終わるテクニックは抜群なのだが、テーマがどうも時事的なものを取り上げてしまうので安直に感じてしまう部分もある。今回は少年法の矛盾を取り上げているが、そんなの誰でも感じているもので新鮮味がないのだ。ストーリ的には問題なくあっという間に読み終わってしまうエンターテイメントとしての魅力は十分。
書店で見かけるとついつい手に取りレジに向かってしまう魅力はまだまだ衰えない。
(お勧め度:82/100)2004/02/09登録
- 「不肖・宮嶋 イツデモ ドコデモ ダレトデモ」 宮嶋茂樹、小学館、2200円
大判の写真集である。
これを見ると宮嶋茂樹はカメラマンなんだとあらためて認識する。あまりにも文章が面白いので、どうもそっち系のいい加減な奴ではないかと勘ぐりたくなるが、これら写真を見ているとそのすごさがわかる。写真一枚一枚が伝える真実、これにはすごい説得力があるのだ。言葉は所詮補足の過ぎないと感じてしまう。宮嶋茂樹、20年の集大成である。
(お勧め度:80/100)2004/02/01登録
- 「終戦のローレライ(上・下)」 福井晴敏、講談社、1700、1900円
8ポ2段組上下本。ボリュームたっぷりの冒険小説。潜水艦を扱った小説がこんなに楽しめるとは思わなかった。「沈黙の艦隊」のパワーをそのまま引き継いだような内容で、かつ、太平洋戦争という既に過去となってしまった時代背景が、実にマッチしている。あの戦争は何だったのだろうかと水くさく問いかけるのではなく、もっと純粋に戦争を見つめているのがよい。広島への原爆投下のシーンも、そのときの日本の動揺もうまく書かれている。
ラストも静かにまとまっていて、それまでの勢いを鎮めるような優しさが感じられ、好ましい。最近、小説はあまり読まなくなってしまったが、こういうハイレベルで重厚な小説に行き会うと本当に幸せな気分になってしまう。
2003年度吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞の受賞作、2004年度このミステリーがすごい!第2位。
(お勧め度:98/100)2004/01/31登録
- 「鷲は舞い上がった アフガン従軍記(上・下)」 宮嶋茂樹、祥伝社、1400円
これは面白い。アフガンってこうなっているのだというのが、リアルに感じる。首都に陣取って公式発表だけを頼りにしてこれを戦地入りと表現する一部メディアに対して、肌で感じ、危険と隣り合わせで突き進む著者。著者のキャラクターとおちゃらけた表現のため、そういった雰囲気が薄まってしまうが、この違いは大きい。我々一般人が経験できないことを伝えてくれる不肖・宮嶋は貴重な存在だ。
相変わらず書名はサムイ。
(お勧め度:90/100)2004/01/10登録
- 「逃亡作法」 東山彰良、宝島社、1600円
まず、結論から言うと、この小説最後まで読めなかった。途中挫折。その要因として、仕事が忙しく集中出来なかったとか、この本だけの問題ではないというところもあるのだが、決定的なのは全体の1割、約40ページ位まで読んでも中身に入っていけなかったこと。
小説は、最初の1ページ、もっと厳しく言えば、最初の数行が勝負、という見方もある。ここにどこまで魅力を持たせるか、如何に読者を引き込むか、これが重要だと思う。仕事ではないが、暇つぶしではない。なけなしの小遣いを払って購入し、何らかの感動なり得るモノを期待して読み始めているのである。そういった意味では、全体の1割を読んで読者を引き込めなかったのは失敗ではないかと思う。
もちろん、これは私だけかもしれない。単なる好みに合わなかったというだけかもしれない。私のレベルの低さの問題かもしれない。たぶん、そうであろう。しかし、これは事実であり、こういう読者もいたということを言いたい。
ちなみに、この小説は、第1回「このミステリーがすごい!」大賞の銀賞をとったものを改題、加筆したものとのこと。そう考えると、かなりの魅力ある作品なんだろう。近未来的脱獄冒険モノらしいので、興味のある方は読んでみると意外に楽しめるかもしれない。宝島社のこの大賞の趣旨から行くと、かなりのレベルを期待してしまう。
(お勧め度:--/100)2004/01/08登録
- 「不肖・宮嶋 踊る大取材線」 宮嶋茂樹、新潮社、1500円
宮嶋茂樹、若い頃からのエピソードを踏まえた取材記。ドタバタであっても、失敗を繰り返しながらの苦労話や体験談は実に楽しめる。後年の紛争地へ乗り込むみたいな派手さはないが、若さ故のバイタリティが感じられる。著者と同年代の自分が過ごしてきた時代を思い出しながら懐かしく読めた。
また、値段相応のボリュームでその点も満足。ただし、書名は安っぽい。他の書名もそうだが、不肖・宮嶋、どれも今ひとつ面白くない。
(お勧め度:85/100)2004/01/07登録
- 「論戦2003」 櫻井よしこ、ダイヤモンド社、1400円
著者の論戦シリーズの最新版である。帯には「この国をとりまくさまざまな問題を痛烈に衝く」とあるが、「衝く」というよりも「噛みつく」だな。たしかにここに書かれているような問題、考え方があるが、それはある一面であって、私たちが生活していく上で、国なり地方なりが行っている施策の利益を供与を受けている部分も多いのではと思う。
この本では、住基ネットなどを親の敵のように攻撃しまくっているが、こういったものが本当に安全に有効に活用されることによって、国民の多くの手間が省け、効率的に行政が運営され、それが公務員や経費の削減に繋がっていくのではとも思う。個人情報保護など聞こえはいいが、これを厳格にやりすぎると、おそらく不自由きわまりない社会になってしまうのではないか。とくに行政が管理する個人情報などは、有効に活用してもらいたいと思う。もちろん、個人情報保護を念頭においてという条件付きであるが。
しかしながら、この本の題名は「論戦」であるので、著者のような視点も必要であり、これらが論戦に繋がり、本来の姿が見えてこればいいのと思う。
(お勧め度:70/100)2004/01/07登録
- 「不肖・宮嶋の天誅下るべし!」 宮嶋茂樹、詳伝社、1500円
1500円もする割には装丁も造作もしょぼい。内容といえば、1500円の価値があるかといえば、うーん、はてなはてな。ざーっと一気に読める面白さはある。舞台がほとんど国内で芸能人ネタが多いので、なんとなく安っぽく感じるのか。内容もなんか古いんだよね、ネタ切れで昔のものを押入の奥から引っ張り出してきたみたい。書籍としては、暇つぶし程度に楽しめる。
(お勧め度:50/100)2004/01/06登録
- 「不肖・宮嶋のワシに聞いたらんかいッ!」 宮嶋茂樹、角川書店、1300円
この類の企画はタレント本で時々見かけるけど、宮嶋茂樹がやったらだめだなと思う。どうも「週間宝島」で連載していたモノらしい。安直だなと素直に感じる。正直言ってつまらない。
(お勧め度:30/100)2004/01/05登録
- 「北朝鮮を知りすぎた医者 脱北難民支援記」 ノルベルト・フォラツェン、草思社、1600円
あれは外務省の大汚点であると確信する瀋陽日本総領事館駆け込み事件を計画実行した著者。「北朝鮮を知りすぎた医者」では北朝鮮から絶対の信頼をおかれ、奉仕する著者を描いているが、今回は全く逆で北朝鮮の実情を世界に知らしめようと走り回る著者を記録している。北朝鮮の現状は、日本では、もう周知の事実として多くの報道番組で取り上げ、書籍で紹介されているが、世界ではまだまだの認識度であろう。まったく著者のような行動が実を結び世界の共通認識とされなければ、解決には向かっていかないモノと考える。とは言え、この本で読んでいる内容がそれほど新鮮であると感じないのは日本に住み多くの情報が提供されているからなのか。後では何とでも言える、最初に口火を切るのが大変なのだ。
(お勧め度:60/100)2003/12/18登録
- 「千里眼の死角」 松岡圭祐、小学館、1680円
千里眼シリーズ10作目、200万部記念作だと、すごい。今回は、内容がだいぶ漫画っぽくなってしまって残念。読んでいても満足感が得られない。簡単に言えば、安っぽくなってしまったと言うこと。とは言え、一気に読ませるストーリ展開はさすがであるが。
だいぶ、状況設定が苦しくなってきているようで、今回、ちょっと渾然としたものを強引に整理してしまったのかなと感じる。従って、次作には原点に戻って、じっくり書き込んでもらいたいなというが希望である。
(お勧め度:60/100)2003/12/18登録
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