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Since 1997/06/07
書籍寸評
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書籍寸評(4) 1998年05月以降
ガンガンと本を読んでいる。本の値段が高いので、ガンガンと金が無くなっていく。どうしたものか。メインは小説であるので、読み進むスピードも速いのだ。経済的ではない。それでも、面白ければ納得するし、次を読みたくなる。不思議なものだ。
- 「レイティング馬券快進撃の秘密」
高橋研、三恵書房、1200円
この類の本はどうして、ぱっと見て安っぽくオジンくさいのであろうか。こんな本ばかり読み始めてときは、もう終わりだなと感じるのであるが読んでしまった私なのです。誘惑に弱いのだな。
レイティングとは、馬の能力指数で数値で表される。これをもとにその他状況を加味しレースを予想すれば、快進撃になるという夢のような話。
・・・が競馬には絶対がないわけで早々当たるわけはない。この本のレースの考察も、後で書けばいくらでもパターンを当てはめることができるという感じであるが、それはそれで、馬券を購入する言い訳的根拠になるからよいと慰める。
それにしても、「高橋研」とは高橋研究所の略かと思ったら、著者名でありました。まことに失礼いたしました。
(お勧め度:60/100)1998/09/01登録
- 「さらば闇の馬券師」
冬木哲哉、双葉社、1400円
帯には「究極のピカレスク小説ここに成る」としか書いてない。このピカレスクという言葉に私は滅法弱いのだ。いわゆる悪漢小説。
書名のとおり競馬を題材とした小説であるが、内容は作者が告白の形をとったいかさま競馬の暴露的もので、今までになかった強烈なものである。
結果的にはすべての金を失いこの小説を書くことになったという経過であるが、パターンは名作『麻雀放浪記』で、作者の名前が哲哉というのも胡散臭い。所詮、麻雀放浪記にはとてもとてもという感じで、今一つ文章はわかりにくく、名前のつけ方も冴えない。まだまだである。
(お勧め度:65/100)1998/09/01登録
- 「ガリバー・パニック」
楡周平、講談社、1600円
楡周平が妙な小説を書いた。
書名から想像できる通りで、巨大な人間が突然現れる話である。それも建設作業員の巨人というのが変だ。ヘルメットも巨大だし、胸に熊田工務店とかかれた作業着も着ている身長100メートルの巨人だ。
こいつが建設現場で活躍したりする。くだらんが面白いぞ。
単なるお遊びって感じがして、真剣に読むのもばかばかしい感じがするが肩を凝らずに読めるのが救い。
(お勧め度:70/100)1998/08/07登録
- 「トライアル」
真保裕一、文藝春秋、1238円
最近、見かけたら必ずその場で購入する作家の一人である真保裕一の新作。基本的に、この人の題材は私の好みと一緒なのだ。どうしてなのだろう。
この本は、競馬・競輪・競艇・オートレースという公営バクチ(ギャフン)を取り上げたもので、私にとっては読むのが勿体無くなるほど、まさに待望の一冊だった。
内容はほぼ期待通りであった。短編であるので無駄なく書かれているのでよいテンポであっというまに読了となる。ほんとうに勿体無い。
ギャンブル本(ピカレスク)というよりも、プロフェッショナルな世界を描いていて、しかも、哀歓豊かな内容だ。
最後に「参考文献」が掲載されているが、その中に「ギャンブルレーサー」とか「競輪マクリ読本」なんてあるのが面白い。「ギャンブルレーサー」については、なんといっても漫画だからね。確かによーく判るけど。
作者がどれだけ公営バクチにはまっているかは判らないが、結構リアルに書かれているので、それなりに好きなんでしょうね(笑)
(お勧め度:95/100)1998/08/07登録
- 「人間臨終図鑑(下巻)」
山田風太郎、徳間書店、2500円
「人間臨終図巻(上巻)」の続きで、このシリーズは上下2巻で完結である。この下巻は、65歳から121歳で死んだ人々の死に様を紹介している。帯には、「あなたはどんな死を望ましいと思うのか?」とあるが、ついついそのようなことを考えながら読んでしまう。
この下巻には、私が尊敬する勝海舟が載っている。享年76歳。意外に長生きをしている。以前紹介した「コレデオシマイ。」にも書かれているが、最後の言葉がそのものの「コレデオシマイ」である。
そして最後の121歳の人は誰かというと、ギネスブックにも載った泉重千代さんである。この人は単に一般人で長寿で有名になっただけであるが、その解説には面白いことが書いてある。この人は、慶応元年生まれ、つまり明治5年戸籍法が実施される以前であるので、生年月日については自己申告であったとのこと。いろいろな論によると、実際の死亡年齢は、15歳引いた歳、つまり106歳ということらしい。真偽は不明であるが、山田風太郎は、神武天皇数え127歳の法螺には及ばないと締めくくっている。うまいこというなあ。
(お勧め度:90/100)1998/07/27登録
- 「ニッポン仰天日記」
荒俣宏、小学館、3800円
明治末期にゴードン・スミスという英国人が、日本に来て見聞したことを日記につけていたわけであるが、それが近年発見された。この日記を翻訳し解説をつけたものが本書である。
とくに日記には、写真や絵などが一緒に添付されていて、これが珍しい。
これを始めてみた荒俣宏が喜び勇んでいる様子が想像できる。
写真もなんとカラーであるし、自筆の絵もとて丁寧に書かれていてスケッチというものではなく本格的なものである。
当時の風俗や習慣が細かく書かれている。この本が一民間人によって書かれたということが、当時の普通の人の生活の描写をリアルなものにしている。
歴史書ではなく、読み物として楽しめる。
(お勧め度:80/100)1998/07/26登録
- 「本の雑誌血風録」
椎名誠、朝日新聞社、1600円
書店でこの本を見て、アレ?と感じたのは、目黒孝二の「本の雑誌風雲録」を読んだことがあるからである。焼き直しかなと最初思った。
内容的には重複する部分があるが、こちらは名作「哀愁の町に霧が降るのだ」「新橋烏森口青春篇」「銀座のカラス」に続くもの。
すでに20年ほど前の話になるので、だいぶ色あせた内容であるが、まだまだ十分当時の熱気は伝わる。
椎名誠はこの本の内容当時は既に30歳を超え、青春とは言えない年であるがそれでもまだまだこれからという時期であり、本人も懐かしく思いながら書いたことであろう。
あの本の雑誌が生まれてくる経過は、活字中毒者の誰もが一度は夢見たことであろう。自分もそうであった。それを実現した椎名誠や目黒考二はすごいと思う。あやかりたい。
(お勧め度:90/100)1998/06/28登録
- 「宣戦布告(上・下)」
麻生幾、講談社、各1600円
グットタイミングだ(笑)。北朝鮮の潜水艇が韓国領内で網に引っかかった。しかも曳航中に沈没。引き上げたら中から大量の武器と兵士の死体が・・・。これを発展させれば小説になるだろう。
この「宣戦布告」も北朝鮮の潜水艦が日本に流れ着くところから始まる。しかも、兵士は上陸した後で、対戦車砲までもっているという。
危機管理体制の出来ていない日本の大慌て振りを克明に描かれている。
作者は、オウム事件を自衛隊の面から追った「極秘捜査」を書いた人であるので、かなり自衛隊の内部に情報提供者がいるのだろう。大変詳しい。
警視庁公安部のスパイを追跡するシーンが迫力があって大変よい。特に下巻。素晴らしい。
全体的に小説というよりも週刊誌の記事を寄せ集めたような構成になっている。したがって、登場人物の繋がりがよくわからなくなるところが多いが、大勢に影響は無い。
また、専門用語が多くてやや理解に苦しむところが多いが、それはそれでリアル感がありマイナスでもない。変なところで注釈が入り、気が削がれるよりもましだ。マニア受けの本かもしれない。 カバーの装丁はよくない。安っぽい。
(お勧め度:90/100)1998/06/28登録
- 「拒税同盟」
水木陽、講談社、1500円
「税は年貢ではない、納めるものでもない、支払うものである」という概念を元にして税の支払いの拒否運動を奨める話。その媒体としてインターネットのホームページを利用するということであるが、インターネットに関する記載部分は誤りが多く、俄か勉強の様。
所々に用語の解説が出てくるのだが、これが煩い。パソコンの用語がいちいち出てくるのだ。ディスプレイ・ウインドウズ・マウス、スクロール云々、何の本を読んでいるのかわからない。
肝心の拒税の部分であるが、理論的にも法的にもだいぶ無理があるように感じる。だから、この拒税運動が単にイヤイヤと泣き叫びごねる子供のようにも見えてくる。理論武装されていないので嫌がらせだけに終わっているのだ。税によって成り立っている国という概念が無いのか?
小説であるのだからいいのだけれど、自分にとってはかなり不愉快に感じる内容であった。
(お勧め度:60/100)1998/06/28登録
- 「防壁」
真保裕一、講談社
4つの短編が収められた単行本。
すべての題材が変わっていて、警視庁警備課SP、海上保安庁特殊救難隊員、陸上自衛隊不発弾処理隊員、消防士と危険と隣り合わせで働くプロフェッショナルな職業を扱っている。これは面白い。1600円の単行本を一気に読んでしまった。
特にSPを扱った「防壁」がよい。どれも長編の題材に使えるのになあと思える内容であり、勿体無い感じ。
(お勧め度:88/100)1998/06/06登録
- 「ホアワイトアウト」
真保裕一、新潮社
真保裕一にしては、映像にしても楽しめそうな内容のアクション・サスペンス。割合にすらすらと読み進め、展開もあって楽しめる。
ダムを乗っ取り、犯人グループが50億円を要求するのだが、警察側と犯人との攻防が少なく、その点が物足りない。
ダムの中に入ったことがないので、その情景が浮かんでこなかった。まあ、私だけだと思うけど。
しかし、この主人公は活躍し過ぎだなあ。いくらなんでも。
始めての漢字2文字以外のタイトルかな。
(お勧め度:70/100)1998/06/02登録
- 「理由」
宮部みゆき、朝日新聞社
ひさしぶりの宮部みゆきの長編小説ということで、期待度はかなり高かったのだが、残念、やや失望してしまった。読み終えるのに苦痛を覚えた。
一家四人殺し事件を時間を追っていくのだが、インタビュー形式を多く取り入れていてこれが回りくどく事件の背景を遅々と辿っていき、なかなか核心に近寄らずイライラした。結局のところ、それほどどんでん返しがあるわけでもなく、謎も無く、解決をしていくのだがそこには緊張感がなく読み進める意欲を削いだ。
朝日新聞の夕刊に連載されたものだそうであるが、新聞に連載するには翌日の新聞がくるのを待ち焦がれるような展開がなく、ストーリの進め方に難があるのではないか。
ついでに、装丁もよくないですね、ギャフン。
次作に期待したい。
(お勧め度:60/100)1998/05/30登録
- 「密告」
真保裕一、講談社
警察組織内での密告者の汚名を題材にした小説。
警察内部の書き込みについては、高村薫ほどの緊張感は無いが、それでも十分陰湿さが書かれていてそれっぽい。
ただし、密告者との疑いをかけられた主人公の行動の元となる理由は、いただけない。帯に書かれた「夢を追う男と女は修羅を生きる」とは程遠い女々しさだ。したがって、暗闇に迫る問題作と期待して読むと後悔するだろう。
(お勧め度:70/100)1998/05/30登録
- 「懸賞日記(壱)」
なすび、日本テレビ
だいたいこんな本を1000円も出して買うのが悪いのだ。判っているのだが、ついつい買ってしまった。
名古屋空港から鹿児島空港までの約1時間の飛行機の中で時間をつぶすために購入してしまったのだが、時間が余った(笑)。まさに暇つぶしの本だ。
懸賞のみで生活するという企画は面白い。実際にこれを実行している生身の人間の日記がこの本で、一通り読んでしまえばこれでおしまいの本。
この本はバカ売れだそうで、この本の印税を考えれば、この懸賞のみで生活するという企画は崩壊するのだが。
(お勧め度:50/100)1998/05/30登録
- 「盗聴」
真保裕一、講談社文庫
「盗聴」「再開」「漏水」「タンデム」「私に向かない職業」の5編が入った短編集。
真保裕一の短編は始めて読んだのだが、短編があまり好きではない私でも大変面白く読めた。解説にもあったが、特に「盗聴」は短編にしておくには勿体無いほどの題材である。
しかしこの人の興味の範囲というか小説の題材は多岐に渡り、かなりの取材のために労力と時間を使っているのだろうなと感じる。
(お勧め度:95/100)1998/05/18登録
- 「コレデオシマイ」
山田風太郎、角川春樹事務所
やりたくないことはやらないという山田風太郎が奇奇怪怪な人生をインタビュー形式で、語っていく、実に興味尽きない内容。
「コレデオシマイ」は、私が尊敬する勝海舟の最後の言葉であり、山田風太郎は、人間最後の言葉の中で最大傑作と賞賛する。
本のデザインといい、構成といい、大変すばらしい本だ。写真も多くて好ましい。
(お勧め度:90/100)1998/05/18登録
- 「新ニッポン百景 95〜97」
矢作俊彦、小学館
この国にはあまりにも無駄なものが多すぎる、と帯にある。まさにこの1文がすべてを表す内容だ。バブルによる日本列島の狂乱が残したもの。今となっては、虚しいとしか言いようの無い遺物。それらを写真入で解説してくれる。本当に日本中のネジが緩んでいた時期だったんだろうなと改めて感じる。カバーの赤と、本文の字体が良い。
(お勧め度:85/100)1998/05/18登録
- 「闇吹く夏」
荒俣宏、角川書店
ありそうでなかった風水を題材とした小説。帯には気象風水ホラーとある。誰が書いたかというとやっぱり荒俣宏であったというのは納得できる話。
しかし内容は壮大というか、エルニーニョ現象、ナスカ高原、首都移転計画、宮沢賢治など、てんこ盛り。
盛りこみ過ぎという感はあるが、それでも無理やりでも小説にしてしまうところがいいなあ。なんというか漫画感覚で読めばいいのかもしれない。
(お勧め度:60/100)1998/05/18登録
- 「情事」
志水辰夫、新潮社
どうして志水辰夫がこのような官能小説を書くようになったかは不明だが、あの渡辺淳一のようになってもらっては困るのだ。私は、志水辰夫の冷ややかでハードボイルドな文体が好きなのだ。ぜひ次作はそういった作品を書いてもらいたい。
(お勧め度:50/100)1998/05/17登録
- 「マッキントッシュ・ハイ」
山川健一、幻冬舎
いくらなんでもこの本、著者のテンションが高すぎて、しかもそれが文章に表れていて、読者は余ほどの事が無いと感情移入出来ないのではないかなと思う。だから冒頭の文章を読んでウンザリしてしまったのだ。
それは私が Windows を使っているからというわけではない。どうしようもなくテンションが高すぎるのだ。それが不快なのである。時間を置いて後で拾い読みをしてみると結構面白い。だからネタはいいのだ、ネタは。
(お勧め度:80/100)1998/05/17登録
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