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書籍寸評

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書籍寸評(6) 1999年04月以降

 かなり遅々たるスピードであるが、途切れることなく本を読み続けている。過去に何度か全く読まなかった時期があって、そうすると再び読み始めるきっかけがつかみにくくなり、しいては読まなくても済んでしまうようになる。
 結局の所、普段から必要があって読んでいるのではなく、体が(頭が)自然と要求し、食事や排泄と同じような感覚で読み続けているのではないか。まさに習慣。


  • 「競馬どんぶり」 浅田次郎、マガジンハウス、1524円

     競馬についてのインタビューをエッセイの形にまとめたもの。競馬についての理想とか夢ということではなく、結構現実的な目で見ているので参考になる。現実的な目とは「負けて面白い競馬なんてあるはずはない」という馬券を買う側からの目である。
     おりしも今日はオークス。さてさて、この本に書かれているような買い方、見方をすれば良いのだろうけど、結局俺も凡人、浅田先生のようには行かない、夢を追い求めてしまう。
     だったらやめろよと言われそうだけれども、唯一怒られないやり方をしているのは、身分相応の賭け方と長くつきあうことの出来る買い方をしている点か。この辺は、素人がやるなら心理だと思う。
    (お勧め度:80/100)1999/05/30登録

  • 「最悪」 奥田英朗、講談社、2000円

     最悪という書名がぴったりの内容で、うまい付け方だ。とにかく読んでいて、もうどうにも悪い方向に悪い方向に向かっていくので、自分が胃が痛くなるようなイライラするような気になるのだ。そして、否応なしに犯罪に転がっていくのが恐ろしい。
     ラストの展開もスピーディで飽きさせない。新人と言うことであるが、これは将来が楽しみ。次作に期待の作家である。
    (お勧め度:90/100)1999/05/30登録

  • 「ほんの一冊」 いしいひさいち、朝日新聞社、952円

     もちろん、いしいひさいちであるから漫画付き、帯の言葉を借りると書評漫画だそうで、取り上げている書籍もバラエティにとんでいて面白い。書評部分は3人の方が交代で書いている。
     この遅筆堂本舗でも取り上げている本も数冊有るが、一ひねり加えた書評にはかなわない。1冊につき4コマの漫画がついているが、こちらもさすがいしいひさいちで楽しい。遅筆堂本舗もこの当たりのレベルまでいつかは押し上げたいと考えている。
    (お勧め度:85/100)1999/05/30登録

  • 「兄弟」 なかにし礼、文藝春秋、1619円

     なんかつまらなそうで、書店で平積みしてあったのをいつも眺めながら購入には至らなかったのだけれど、映画化されるとかとの話を聞いて、まあ読んでみるかという気になった。結果、面白かった。色物っぽくて期待していなかっただけに、よかった。
     しかし、この兄貴はしょうがないな。自分も兄弟の上であるのだけれど、さすがにここまでは酷くない。ほぼ実話のようであるが、弟のなかにし礼もすごい。つぶれず現在に至っているというのは。私にはこのような実力はない。すぐ破産だ。
     小樽のニシン御殿って有名だけど、しかしすごいね、このニシン漁は。目に浮かぶような記述に圧巻。
    (お勧め度:90/100)1999/05/30登録

  • 「闇の楽園」 戸梶圭太、新潮社、1800円

     発想の原点がバレバレであるが、結構面白い。オウム、産廃、町おこし・・・、新聞眺めていてプロットを組み立てたのだろうけど、あまりにも時事ネタ過ぎて、かえって新鮮でない。漫画的な記述もあるが、それはそれで所詮文芸作品という捉え方ではなく。娯楽として読んでいるので良い。
     この作家は新人とのことであるが、職業はなんであろうか。結構、自治体のことが詳しく、実際と違和感がない内容。身近な役場職員からの取材であろうか。
     第3回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作品であるが、最後の選評も面白い。結構みないい加減に応募するんだな、って。しっかりかけよ(笑)
    (お勧め度:80/100)1999/05/29登録

  • 「愛国者の地雷」 田中光二、実業之日本社、1800円

     数年前まではこんな事はなかったのだけれど、どうもつまらない小説を読んでしまう。読んでいる最中に腹が立ってくるのだ。
     この小説も言いたいことは判るのだけれど、読者を楽しませるというサービス精神が書けていると思う。主張だかなんだかわからないけれども、あまりにもストーリを無視したストーリ(笑)にはあきれる。読んだ後の満足が得られない。
     「地雷500発強奪される!」なんて、目の付け所がいいのだけれど、それを生かすことができていない。タイトル負け。
     この作家、『愛国者の縦断』という小説もあるのだけ、さて買うべきか?
    (お勧め度:50/100)1999/05/28登録

  • 「ピンの一」 伊集院静、幻灯舎、1700円

     遂に出た。スポ日に連載中から、単行本になったら読もうと目を通さずに我慢してきた甲斐があった。待っていました!
     麻雀、競輪、競馬、競艇、さいころ・・・、何でも来いの伊集院静。小説が面白くないはずがない。2年ぶりの長編。これを読まずに死ねないぞ。
     「反省などしない」「ツキにこだわるな、波だ」とささやいてくれる。ピカレスクの傑作誕生だ。次作にも期待。いうことなし。
    (お勧め度:100/100)1999/05/04登録

  • 「刑事たちの夏」 久間十義、日本経済新聞社、1800円

     高村薫るをはじめ、警察小説と言われる分野の小説の躍進が目覚ましい。実際よりもリアルであろうと感じさせ、これは小説だと思いきかせながら読み進む快感。
     日経新聞に連載されたものであるが、大蔵省、警察内部、政界トップも巻き込む一大スキャンダル。まったく最近の新聞記事そのものである。
     緻密な展開と書き込みは、物語に集中させ息もつかせない。面白い!
     登場人物票がついているのもうれしい。
    (お勧め度:95/100)1999/05/04登録

  • 「エサウ」 フィリップ・カー、徳間書店、1800円

     昔から外国の小説、翻訳物は苦手だった。苦手だからよけい事読まない。いつまでも慣れないという悪循環である。久しぶりに読んだ翻訳小説であるが、状況は変わらなかった。
     つまり、物語に集中できないのである。舞台が外国であるということではなく、日本語として読んでしまうので、文章が理解できないのだ、本当に俺って頭が悪い。
     それでも後半は、ぐいぐいと引き込まれた。いわゆる雪男との接触、出産まで体験してしまうのだからだ。これはすごい。ディズニーで映画化とのことであるが、たしかに映像になる内容である。
     封印された神の子、小説とはいえ、本当に科学者では、なくとも期待したい部分である。
    (お勧め度:85/100)1999/05/04登録

  • 「クラッシュ」 楡周平、宝島社、1905円

     天才プログラマーの狂気!って類の小説が多くなりました。インターネット全盛の時代。この小説は、旅客機のコンピュータのプログラムに細工をするというところにやや無理があるが、犯行声明をホームページに掲載しウイルスを感染させる方法は実際にはありそうである。全世界に感染するのはどうかなと思うが、多少の疑問とか矛盾は無視するとして、いずれ誰かがこの手の小説は書くだろうという感じ。
     この作家の小説としては、いままでのものとはやや毛並みが変わっているが、エンターテイメントとしは面白かった。しかし、登場人物も無理矢理過去の作品から引っぱり出しているが、その必要があるかなとも感じた。過去に捕らわれずにどんどん新しい分野の小説を書いてもらいたい。アイデア(題材)は面白いのだから。
    (お勧め度:80/100)1999/05/04登録

  • 「冤罪者」 折原一、文藝春秋、2095円

     連続婦女暴行殺人事件が題材であるのでやや後味の悪さが残るが、この作家の得意とする逆転、また逆転という展開は結構楽しめる。
     「漂流者」では表現が下手と書いてしまったが、それはそれとして、(おそらく)読者をあっと言わすことを喜びとしている作家をあえて選んで読んでいる読者としては、その期待に反しなければ良いのではないか、と私もやや大人になったような気分で読了した。
     ホームページが小説の中に出てくるとは思わなかった。ホームページの更新までがトリックにつかわれるとは思わなかった。なお、ネスケのバージョンが古い。しかもアクセスカウンターまでついている。しかもマックだ。
    (お勧め度:82/100)1999/05/04登録

  • 「無明山脈」 梓林太郎、徳間書店、1800円

     山岳ミステリーという触れ込みにはどうも弱い。完全にこの言葉にだまされた。
     この作家には以前にも苦い思いをさせられているので、いやな予感がしたのだが、しかしそれにしてもこれはひどい。結局最後まで読んでいるのが馬鹿らしくなり、約3分の1でやめてしまった。
     こんな都合の良いミステリーなんてあるかああ。林太郎って森鴎外と同じ名前だぞ。うちの子は麟太郎というけど、なんか恥ずかしい。
     とにかくこの作家はもう読んではいけないと、その誓いを心に刻み込ませた作品。
    (お勧め度:採点外)1999/05/03登録

  • 「編集稼業の女たち」 本の雑誌編集部、本の雑誌社、1800円

     久しぶりの本の雑誌社の単行本。月刊誌、週刊誌、文庫本に単行本、これらの編集に関わっている女性編集者の苦労話。その昔、私も編集とかに異常に興味を示し、それが出来るので有ればどんな苦労もイトマナイなんて思っていた時期があったけど、最近はそんな物に足をつっこまなくて良かったなあとつくづく思う。そして、この本を読んで改めて思う感じる、そう思う。
    (お勧め度:85/100)1999/05/03登録

  • 「室井滋のクロアン」 室井滋、マガジンハウス、1143円

     いかにもマガジンハウスといった作りの本である。じっくり読んでも人生無駄にしているようでもったいないのであるが、ぱらぱらと読む分には害になるまい。
     うちの弟と同じ名前であるのであまり悪くも書けないのであるが、遊びで作った本を私のような金のない人に買わせないように、シゲルくん。
    (お勧め度:60/100)1999/05/03登録

  • 「朽ちた樹々の枝の下で」 真保裕一、角川書店、1600円

     以前から書店で見かける本なのだけれど、どうも読む気が起こらなかった本である。真保裕一といえば、ほとんどの作品を読んだ物であるが、これだけが最後になってしまった。
     で、やっぱりほぼその勘は当たっていて、帯に書かれているように「感動のサスペンス大作!!」なんてビックリマークが2つも並ぶような感動は無かった。
     そうこうしているうちに、静岡県細江町で警察官の不発弾爆発事件が報道されまあ十分あり得ることで有るなと、納得したものである。
    (お勧め度:50/100)1999/05/03登録

  • 「電脳農奴解放ジャーナルvol.1」 電脳農奴解放戦線、太田出版、1200円

     パソコンユーザー自立ためのゲリラ情報誌とのこと。これは第1冊目であるが、不定期刊とのことであるので、次がいつ発売されるかワカラナイ。が、内容的には小気味よいほどメーカー実名で正直に(笑)書いてあるので、次作を期待したい。
     これはひとえに、太田出版という芸能本が本筋のところの出版であるからであろう。がんばって皆を自立させてもらいたい。
    (お勧め度:85/100)1999/05/03登録

  • 「潜航指令」 李光洙、ザ・マサダ、1,500円

     1996年の北朝鮮潜水艦ゲリラ事件で唯一生き残った北朝鮮兵士の証言記録である。まだ記憶の新しい。それ以降も何度か新聞報道で話題になった事件があったが、この内容は実にリアルである。
     洗脳に近いシビリアンコントロールで国を信じ切ったこの兵士が、韓国に侵入しそこで体験した現実とのギャップ、驚きが、私の期待した通りであるところがかえって恐ろしい。
    (お勧め度:90/100)1999/05/03登録

  • 「Webデザイン入門編」 リンダ・ワインマン著、 エムディエヌコーポレーション、4,700円

     まさにこれだって感じの自信たっぷりの1冊であります。この本を紹介したいためにこのページを作ったと言っても言い過ぎではありません。
    書名はいかにも初心者相手の素人向けでありますが、この本の格調ときたら読む前に手を洗ってしまいたくなるほどです。
     私は、この本で扱っているほど高レベルのページは作っておりませんが、デザインを前面に出した内容は、向上心を高めます。刺激されます。夢が広がります。
    入門編というだけあって、私のような素人でもかなり理解できます。実作業レベルで参考になる例がたくさんあって、入門の域を出たデザイナーでも十分参考になるのではと思います。
     もしあなたがWebページを作成するなら、この位の本を読んで(眺めて)少しでも感性を磨いてください。っているだけでもスキルアップしたような気になります。
    (お勧め度:100/100)1999/04/21登録

  • 「めざせ!Webデザイナー」 鋤柄よしこ著、 IDGコミュニケーションズ、1400円

     「めざせ!デジタルクリエイタ―」というシリーズの内の1冊。
     私もこうして他愛の無いホームページを作っているのだが、まさかこれを商売にしようという大それたことは考えていない。なぜなら、ワープロ感覚でマウスでドラッグ、ボタンをポンポンで簡単にホームページができるソフトが数千円で売っており、こだわらなければいとも簡単に出来てしまう世の中だからだ。
     ホームページ(インターネット)が特殊な人のものという時代はとっくに過ぎ去り、今は猫も杓子もの状態である。そんな中で、これで生計を立てていくなんぞ 女房子供を抱えたたいした才能の無い私に出来るわけがない。
     では、なんでこんな本を読んだかというと、それは暇つぶしなのだ(笑)
     先日茨城県までバスで往復したのだが、その間、多分暇であろうかと思いぱらぱらと読める本を探したところ、目に付いたので購入したのだ。それだけである。
    読んでみた感想を一応書いてみるが、一言でいうと、とてもこの本で生計を立てていくことは出来ないだろうと感じる程度の初心者相手の内容であった。なるほどと思った個所は数ページあったが、今はもう記憶にない。
    (お勧め度:60/100)1998/04/20登録

  • 「めざせ!DTPエキスパート」 下平秀之、森本眞吾共著、 IDGコミュニケーションズ、1400円

     「めざせ!デジタルクリエイタ―」というシリーズの内の1冊。内容的には、いわゆる初心者向けで私などには調度いいのだが、あまり役に立たない。とてもエキスパートを育てるための書籍とは思えず、「入門・・・」というタイトルのほうが似合うであろう。
     参考になる部分は、第1章の「プロはどんな仕事をしているの?」というところかな。読んでなるほどと思うだけであるけど、それはそれで実務を知らないものにとっては、得るものがあるのだろう。
    (お勧め度:60/100)1999/04/02登録