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Since 1997/06/07
書籍寸評
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書籍寸評(9) 1999年12月以降
子供が大きくなって、といっても4才と2才になろうとしている幼児であるが、それでも手が掛からなくなってきた。夜泣きもせず、親も熟睡でき、聞き分けもできるようになってきた。なかなか時間はとれないが、精神的余裕が生まれ、読書にも集中できるようになった。気力も湧いてくる。2000年の読書目標は100冊読了である。
- 「夢幻の如く」
内山田厚生、東洋出版、1400円
つまらない。これを小説というのか。「秀吉の生涯ダイジェスト版」という書名の方が似合うぞ。秀吉の一生、戦国時代の背景など理解している人が読めば、ああなるほどと思えるだろうけど、歴史小説を初めて手に取った人、読み慣れない人が読めば、どこで感動していいかわからない。しかも、新しい事実、解釈、挿話があるかといえば、そうではなく、あちこちの解説書から拾い集めたようなごく普通の話ばかりで、ほんとうに
つまらない。1400円という命の次に大事なお金を払ったオレは怒っている。こんなものを買ってしまった目利きの悪い自分にも怒っている。
どういう作者かと経歴を見れば、元建設省役人で、天下りまでしましたと書いてある。ふつー、書くか? そういえば役所っぽい文章かもしれない。箇条書きと( )書きが多用され、マニュアル的作風、「→」記号まで使っている(笑)、ふつー小説に「→」記号使うか。
処女作とのこと。うーむ、次作に期待したい。たぶんオレは読まないだろう。
(お勧め度:10/100)2000/04/16登録
- 「わが友フロイス」
井上ひさし、ネスコ、1200円
フロイスとは、宣教師フロイスで、戦国時代、キリスト教の布教活動をした経過と悩みを書簡形式で書きつづったもの。さすが井上ひさしで、一字一句まで計算されていて無駄が無く、非の打ち所がない。おそらく、この1冊を書くにあたっては膨大な資料を調べ、構想を練り、それを絞り尽くしたことであろう。大作とは、本の厚みではなく、一字一文の重みのことをいうのであろうことを証するべき1冊である。
(お勧め度:90/100)2000/04/16登録
- 「煙」
松岡圭祐、徳間書店、1600円
つまらん。まったくつまらん。推理サスペンスといっても、本の最後だけでそこに至るまでは退屈の極み。どうしてこんなものを書いてしまったのだろうか。今ひとつの前評判を聞いていてもどうしても手を取ってしまう作者だけに、本当に期待を裏切ってしまうと次の本には躊躇してしまう。
全体的にこじつけの感が強く、最後のどんでん返しも正直言ってずるい。伏線もほとんどなく、主人公の主観のみが謝っていたと言うだけ。
「催眠」「千里眼」を本当に楽しく読んだだけに残念である。
(お勧め度:40/100)2000/04/09登録
- 「スリー・アゲーツ」
五條瑛、集英社、1800円
前作(デビュー作)である「プラチナ・ビーズ」をあれだけコケオロシておいても、すぐに次作を手に取るところは、オレって本当に義理堅い。駄目だからといって闇に葬るだけではなく、復活のチャンスも与えるのだ。
プラチナ・ビーズの続編。登場人物が同じであるので、退屈。これだけの分量を書いてもまだ実体がよくわからないのは問題ないかい。だんだんと解決していかないと、読む気が失せるよ。今回の内容も次作に続く終わり方である。
しかし、なんとも盛り上がりに欠ける小説である。どうしてこんなに渋いんだ。これだけの文字を読ませるのだから、もっと楽しませてくれよという感じである。前作よりチョビッとマシか。
ちなみに、この本を風呂の中で読んでいて落とした。従って、現在、シワシワ状態である。
(お勧め度:53/100)2000/04/03登録
- 「戦慄」
麻生幾、新潮社、1700円
週刊新潮に連載されていたものに大幅加筆したもの。内容がすごくいい。記憶の片隅に追いやられそうなくらいの、けれども忘れはしない過去の大事件を新しい証言を元に洗い直している。ホテルニュージャパンや三菱銀行籠城事件、ベレンコ亡命など、当時、まだ世間知らずの幸せな(笑)年齢であったのでよく理解していなかった部分が多いのだが(しかし記憶にはしっかり残っている)、今回、改めてこの本を読んでみると
やっぱり小さいながらに感じた当時の雰囲気はそれほど間違ったものでないと改めて感じた。
三菱銀行のときには、毎月『GUN』という月刊誌を読んでいるほど銃には憧れていたのだが、この犯人梅川がやはりこの雑誌を読んでいたという報道を見て、これはマズイと購読中止したものである。新しいものでは、北朝鮮侵入船の追跡など。
このシリーズは現在も連載中であるので、次作も期待したい。
(お勧め度:90/100)2000/04/03登録
- 「五体不満足」
乙武洋匡、講談社、1600円
1600円もするんですね、この本。それにしても何で今頃読むんだ。空前のベストセラーだそうだが、私は買ったわけではない、貰った(泣)。だいたいこれだけテレビとかマスコミに出現すると、興味なく気にしなくても情報は入ってきて、読まなくても内容は想像がつく。
感想については、おそらく多くの人が感じたものと大差ないと思いますので、ここでは省略します。どうしてこの本が世の中に出てきたのか。著者もこの本の中に書かれていますが、それにしても本当のところは・・・本人が言うように、目立ちたがり屋だからか。著者は優等生でまったく非がない人間であろうと思います。立派だと思います。が、もっと本当の本音というようなものがどこかにあるような気がします。この本に書かれている裏の裏の部分、そこが知りたい。
(お勧め度:50/100)2000/03/20登録
- 「電脳博士の田舎暮らし」
布施英利、NECクリエイティブ、1300円
つまらん。内容がないので時間を無駄にすることなくざっと読めるが、お金を出して買ったことに対して自分にいらだちを感じる本。この本を書棚に入れることによるスペースももったいない。
どうしてこうスカスカの内容になってしまうのか、元大学教授であれば、もう少し論理的にコダワリを持って書き込んでくれないのかなと思う。
(お勧め度:30/100)2000/03/12登録
- 「プラチナ・ビーズ」
五條瑛、集英社、1800円
随分と時間を掛けて(というのは、なかなか食が進まないということ)苦労して読んだのだが、その割には感動も得られなかった人生無駄使い本だった。読み終わってみれば、なんて事は無いことで、そんなことで2週間近くも時間をとったこと自体に腹が立つ。
本格派スパイ小説、国際謀略小説ということであるが、この言葉だけに期待してその筋のコダワリ読者が読むと、がっかりするかもしれない。防衛庁出身の作者。情報、調査専門職であったとのことであるが、メリハリのないプロットは、この辺が理由か、事務屋の想像力の限界か。もっと遊びが欲しいぞ。娯楽小説としてつまらない。
なお、帯の浅田次郎の推薦文にも腹が立つ、責任重大。
(お勧め度:50/100)2000/03/12登録
- 「半眼訥訥」
高村薫、文藝春秋、1381円
この作家にエッセイとかいう言葉は似合わない。帯の表現は「雑文集」である。それにしても小説以外のものをこんなに書いていたとは知らなかった。
この本を読むと、実に普通の現実的な、家の中の風景が想像できそうな感じである。とてもあんな硬派な小説を書いている作者と同一人物とは思えない。確かに、文章はしっかり、かっきりと書いてあるが、内容は実に身近なことで、何となく親近感が湧いてくる。「ワープロが亡くなる日」というタイトルの文は、なんか反論したくなるような文章。「家のつぶやき」と題する一連の文は、私が今、家の新築を考えているのでとても興味深い。
実寸大の高村薫を見たようだ。
(お勧め度:70/100)2000/02/20登録
- 「グリコ・森永事件」
宮崎学・大谷昭宏、幻冬舎、500円
なんと、これも幻冬舎だ。
昨日、最終時効を向かえたグリコ・森永事件。テレビでもあれこれ特集をやっていましたが、結局、なにも新しい事実は出ることとなく、時効は成立してしまいました。この本も、特に目新しい事実が書かれているわけではありませんが、見所(読みどころ)は、やっぱり宮崎学との対談、とその見解ですね。宮崎学の見解はあちこちに本人が書いていますが、改めてこうして読んでみると、彼が犯人という決定的なものは何もないことがわかります。
一方、大谷昭宏については、あまり私好みの人ではなく、ヤジウマを見ていても、朝っぱらからイライラさせてくれるな、このオッサン、てな感じなんですが、この本を読んでみても論理的でそうでないところが、宮崎学と比べて全然格下。この本の前書きを書いているのだけれど、文章の下手さには呆れるばかり、本当にこの人新聞記者だったの、自分の書いた文章を読み直したのかな、と余分なところばかりに気が散って集中出来ない。
期待しすぎて読むべきではない本である。
(お勧め度:70/100)2000/02/14登録
- 「永遠の仔(下)」
天童荒太、幻冬舎、1900円
予想通りの展開で、読み進むほどにどんどん気が重くなる小説であった。それだけ鬱にさせるのは、それなりの文章力に基づくのだろうけど、それにしても、読書の楽しみという意味では、こんな本ばかり読んでいると、ろくな人生がないであろうと思ってしまう。
話の中で、刑事が上京した義理の父母を向かえもてなすシーンは泣けた。最後には、お互いが気遣う(最悪の結末でも)ところがいくつも出てきて、ややホッとしたものであるが、それにしても遅すぎる。結局、何も解決をしなかった。それが本当に悔しく思える。
もう一つ、今年4月から介護保険制度が始まるが、介護の現状を上手く捉えている。まさにこれからの課題である介護問題を取り入れているところは、時事ネタぽいく良いと思う。
結果的には、面白かった。しかし、重すぎるテーマで疲れた本でもあった。
(お勧め度:95/100)2000/02/14登録
- 「永遠の仔(上)」
天童荒太、幻冬舎、1800円
なにも上巻を読んだだけで感想を書くことがないのだけれど、どうにもやりきれない読後感が何か書かざるを得ない気持ちにする。上巻を読み終わったところでは、ミステリーという枠には収まらない奥深さが感じられ、どちらかといえば、先に先にというよりも読むのが辛くなるような雰囲気、もっと何かとんでもないことが起こるのではという不安、思い出したくない過去がだんだん暴かれていくときの身を削られるような痛み。どうにも辛い目をそらしたくなる内容だ。
上巻だけでは何も解決もしないのだが、だんだんとよじれた糸が解れていく緻密さは読者をドキドキさせる。この小説は、「面白い」という簡単な言葉だけでは評価できない力と尊厳がある。
(お勧め度:95/100)2000/02/06登録
- 「あの金で何が買えたか」
村上龍、小学館、1500円
装幀も紙質も中のイラストもすべてのブックデザインが素晴らしい。中を開いてみれば確かに面白い。金融機関への公的資金投入がいかに大きな金額であったことがわかる。比較の対象を実にわかりやすい、受け入れやすいものを選んでくれているので実感が湧く。
が、だからといって私は例えば公的資金の投入を非難するつもりはない。村上龍が書いていることであるが、これらの数字(お金)がいかに大きなものかと言うことを知ることが大切である、これは本当にそう思う。3000億円って金額がどの程度の価値があるのか、それを知るには良い本だと思う。
この本を読み方を間違えないでもらいたいと切に願う。
(お勧め度:70/100)2000/02/01登録
- 「2000年間で最大の発明は何か」
ジョン・ブロックマン、草思社、1500円
書名から中身は想像できて、書店でぱらぱらと眺めてメーリングリストからの抜粋であるということが判明して、これは買ってはいけないと思ったのだが、正月にNHKで放送しているのを見ようとして見逃したので、ついついついついつい・・・買ってしまった本である。
読んでみて、うーんと思うところがあったことは事実で、ウムと思ったり、イヤッと思ったりもして、結局、大した感動がなく読み終えた。
基本的に寄せ集め的な本って好きではないのですね、私。最初から最後まで著者がきっちりと計画的に執筆した一貫性のあるものでないと、なんか時間の無駄のように感じて駄目なんです。この本、得るところなきにしもあらずなのですが、それで終わっています。
(お勧め度:50/100)2000/02/01登録
- 「バトル・ロワイヤル」
高見広春、太田出版、1480円
話題になっていたはずなのに今まで手に取らなかった理由は、この装幀。正直言って私の趣味ではないので、普通に見ていては絶対に手に取らなかっただろう。まあ、なんというか、安っぽいんだよね、この大きさもなんだかなー。安っぽい。太田出版らしい売り方だなあ。
しかし、内容は悪趣味であるが面白い。先が先がと気になって仕方がなく、最後の解決を知るまで読み進めてしまう魅力がある。結構、魅力的な人物描写も徹底的にいやな面の人物背景も上手く描いており面白い。
最初の前口上を読んだときはもうやめようかなと思ったし、導入部も誰が主人公になるのかわからない数ページでくじけ始めたけど、走り始めたら止まらない。これがとにかくこの作家の魅力である。
第1作目である故にアイデア一杯であるけれども、第2作目はどうか、この作家の実力が問われるところであろう。ちなみに、大東亜共和国という設定は次作にも使えるが、もう同じ内容は読みたくない。とにかく次に期待する。
(お勧め度:95/100)2000/01/24登録
- 「アメリカ彦蔵」
吉村昭、読売新聞社、1800円
漂流ものは面白い。実際に漂流した人の苦労は大変なことであろうが、小説で読む分には見つけ次第ついつい手にとってしまう。魅力的な題材である。とくにこの吉村昭の描く漂流小説はもうハズレ無しである。
幕末の船乗りの漂流では、ジョン万次郎が有名であるが、この小説の主人公の彦蔵も同じような体験をしている。万次郎ほど知られていないが、万次郎と彦蔵は実際に日本に戻ってきてから会っているし、歴史上重要な立場にもあった。
特にアメリカでの生活は、南北戦争を体験し、リンカーンを始め3人の大統領にも会っているなど、その経験はまさに小説向きである。もちろん事実であるので、当時の様子を知るにも十分役に立つ。
吉村昭の小説は、淡々と事実のみを積み上げて展開していく。説教臭いところがないので内容に集中できる。この作家には、もっともっと活躍して、どんどんもらいたい。
(お勧め度:90/100)2000/01/16登録
- 「龍の契り」
服部真澄、祥伝社、1752円
香港返還に絡んだ国際謀略小説。読む前のこの作家の印象よりも実際に読んでみると随分と読みやすいと言うか頭に入って気易い。結局、無駄がないのとストーリに展開に変化があって集中できるのでしょうな。
伏線というか、序盤の不透明な部分がだんだんと鮮明になっていく手法は、次に次にと読み進む力になっていて、快感である。しかしながら、計算し尽くしているだけに、最後にどどっときっちり解決しすぎて、かえって興ざめしてしまう。もう少し、最後に謎を残すくらい、あるいは考えさせられるくらいの方が余韻は良質かも。
といっても、絶対的に面白い。実際の状況は知らないので小説の内容がどのくらいリアルなのか、あるいは可能性の問題としてどの程度この謎が自然なのか、よくわからない。しかし、私の場合、香港という日本とは少し離れたところを舞台としていても、2度ほど行ったことがあるところなので、情景が目に浮かび、割合に感情移入しやすかった。
早く次を読みたい。新作を・・・。
(お勧め度:95/100)2000/01/09登録
- 「ディール・メーカー」
服部真澄、祥伝社、1890円
私の少ない知識によると、服部真澄は3作書いていて、これはその3冊目だと思うが、この作品は私にとっては初めて服部真澄であった。
服部真澄は面白い、という評価の元に読んだからかもしれないが、期待してたより少し小粒であったような気がする。もちろん、この小説がである。なぜなら、米国の巨大企業同士の買収合戦の割には、起爆剤であろうタイムカプセルや著作権法の解釈など、トリックというか一番のキーポイントが今ひとつ小さくまとまってしまった
ふうに読めたからだ。
確かに全体を通して面白い。それもかなり面白い。無理なくよれた伏線が徐々にほぐれて解決に向かっていく心地よさは抜群だ。だからこそ、もっとアッと驚く何かが欲しいような気がする。
なお、この本は年末38度代の熱を出しながら意識朦朧の中で読んだ。もう少し頭がすっきりしていたら違う評価が出たかもしれない。
(お勧め度:89/100)2000/01/05登録
- 「水の通う回路」
松岡圭祐、幻冬舎、1800円
「催眠」と「千里眼」の間の作品。この本を書店で見たのは初めて。幻冬舎から出版されているのですね。
登場人物がうまく描かれていてそれぞれ味があってよい。ストーリ展開もテンポよく飽きさせない。帯にも書かれているが「催眠」より絶対に面白い。
ゲームソフト業界の内幕も興味深いし、十分その背景が生かされたストーリ展開で無駄がない。ただし、犯人というかその辺はちょっと無理があるような無いような。それ以外は、読み物として実に良くできてお勧め。もっともっと読みたい作家です。
(お勧め度:100/100)1999/12/26登録
- 「魅惑の魔都マカオでバカラ浸け」
田村光昭、現代書房、2000円
名作「麻雀ブルース」の作者。阿佐田哲也の麻雀新撰組のメンバーでもあった人。私が、就職して からも週3日は 麻雀をしていた頃、よく聞く名前であった。久しぶりに書店でこの人の名前を 目にして、最近何をしているのかなと気になって購入してみた。
内容は書名のとおりで、詳細なマカオ観光案内書のようでもある。マカオのカジノ(バカラ)にはまって年100日から150日滞在するというものすごさ。しかも、それで生活な成り立っているのですから、すごいものです。
私もマカオのカジノには行ったことがあります。私は、どこのカジノに行ってもルーレットしかやらないのですが、初めてマカオに行ったときは、沢木耕太郎の「深夜特急」を何度も読んで行ったものです。本書の中にも対談が出てきますが、この人たち、本当にはまっていて話の内容が面白い。帯の推薦の言葉が井上陽水で
あるのも結構!
(お勧め度:80/100)1999/12/26登録
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